排出量取引マーケットレポート 2012.6.15

2011年のカーボン市場の取引高は1,760億ドル、過去最高

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2012年06月20日

  • 真鍋 裕子

サマリー

マーケットサマリー(2012/5/18~2012/6/14)
ギリシャ再選挙を前に小幅な値動き


関連トピック
2011年のカーボン市場の取引高は1,760億ドル、過去最高

世界銀行の報告書によると、2011年のカーボン市場の取引高は前年比11%増となる1,760億ドルであった。欧州危機によりEU-ETSにおけるEUAおよびCER価格が半減した一方で、取引量が増加した。2012年以降、カリフォルニア州、豪州、韓国、中国などで新たな排出権取引市場創設の動きがあり、排出枠の種類は多様化するだろう。同報告書では、京都議定書第1約束期間における需給バランスについて、引き続き供給過多が予想されている。

2020年のGHG削減目標、下方修正は必至
環境省中央環境審議会より地球温暖化対策の選択肢(原案)が提示された。2030年における原発比率を0%~25%とした6案であり、いずれもGHG排出量は90年比5%減~15%減にとどまる。日本の25%削減目標に対する不足分を排出権で賄うことは現実的に厳しく、目標引き下げは必至となろう。現在COP18(2012年末、ドーハ)に向けて途上国も含めた「野心度の引き上げ(raise the level of ambition)」(目標値の引き上げ)の議論が行われているが、今後の気候変動問題に関する国際交渉において、残念ながら日本がリーダーシップを発揮することは困難となろう。

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