「成長神話からの脱却」を考える

RSS

2010年02月05日

  • 河口 真理子

サマリー

リーマンショック以降の新たな成長のけん引役として、グリーンニューディールに代表されるエコビジネスが期待されている。「成長することが善」が今の時代常識になっている。しかし地球環境危機を生み出した元凶が、経済成長にともなう人間活動拡大の弊害だとするとグリーンでの成長とは矛盾する概念ではないか。地球の環境制約を考えると従来型成長が不可能なことは明白である。ちなみに、人類社会が辿ってきた経済の歴史を振り返ると、経済成長が人類の活動の目的化されるようになったのは産業革命以降の僅かな時間に過ぎない。本稿では、経済成長が必ずしも人類にとり普遍的な目的ではなかったことを経済史上から概観し、また物質的成長ではなく心の豊かさを含めた新たな発展・繁栄を模索するブータンの試みや、英国・フランスの報告書などを紹介し新たな経済のあり方について問題提起する。

このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。