サマリー
◆2月24日、金融庁は、国内独立系の投資顧問会社である、AIJ投資顧問株式会社に対する行政処分を発表した。投資一任契約に基づいて行う顧客資産の運用状況について疑義が生じており、多くの年金基金の運用資産に対する影響が懸念されている。
◆根本的に問題であるのは、グローバル金融危機以降、年金基金の代替投資(オルタナティブ投資)のリスク管理強化が思うように進まなかったことであろう。金融法人(特に銀行、信金等)では、バーゼル規制や金融検査等において運用資産のリスク管理強化が実施されており、地域金融機関を中心にヘッジファンド投資が大幅に減少していた事実がある。
◆一方、年金基金では、特段新しいリスク管理強化を実施しない形で、再度、代替投資を増加させていた背景がある。今後は年金基金においても、銀行等で実施されている個別資産精査(運用資産のルックスルー)の実施など新しいフレームワークの強化が求められる。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
米国DC「自動加入化」の効果と今後の期待
若年層や低所得者層の加入率向上と資産形成の促進に有効な仕組み
2025年10月07日
-
議決権行使における取締役兼務数基準の今後
ISSの意見募集結果:「投資家」は積極的だが、会社側には不満
2025年10月03日
-
大和のクリプトナビ No.4 ビットコインは「デジタル・ゴールド」か?
一定の妥当性はあるが脆弱性が残る。制度の整備や需要の多様化が鍵
2025年10月02日
最新のレポート・コラム
-
働く低所得者の負担を軽減する「社会保険料還付付き税額控除」の提案
追加財政負担なしで課税最低限(年収の壁)178万円達成も可能
2025年10月10日
-
ゼロクリックで完結する情報検索
AI検索サービスがもたらす情報発信戦略と収益モデルの新たな課題
2025年10月10日
-
「インパクトを考慮した投資」は「インパクト投資」か?
両者は別物だが、共にインパクトを生むことに変わりはない
2025年10月09日
-
一部の地域は企業関連で改善の兆し~物価高・海外動向・新政権の政策を注視
2025年10月 大和地域AI(地域愛)インデックス
2025年10月08日
-
政治不安が続くアジア新興国、脆弱な中間層に配慮した政策を
2025年10月10日
よく読まれているリサーチレポート
-
第226回日本経済予測(改訂版)
低成長・物価高の日本が取るべき政策とは?①格差問題、②財政リスク、を検証
2025年09月08日
-
聖域なきスタンダード市場改革議論
上場維持基準などの見直しにも言及
2025年09月22日
-
今後の証券業界において求められる不正アクセス等防止策とは
金融庁と日本証券業協会がインターネット取引の新指針案を公表
2025年09月01日
-
日本経済見通し:2025年9月
トランプ関税で対米輸出が大幅減、製造業や賃上げ等への影響は?
2025年09月25日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
第226回日本経済予測(改訂版)
低成長・物価高の日本が取るべき政策とは?①格差問題、②財政リスク、を検証
2025年09月08日
聖域なきスタンダード市場改革議論
上場維持基準などの見直しにも言及
2025年09月22日
今後の証券業界において求められる不正アクセス等防止策とは
金融庁と日本証券業協会がインターネット取引の新指針案を公表
2025年09月01日
日本経済見通し:2025年9月
トランプ関税で対米輸出が大幅減、製造業や賃上げ等への影響は?
2025年09月25日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日