2019年12月20日
サマリー
◆ここ数年、日本の株式市場でアクティビスト投資家の活動が活発化している。近時動向の特徴としては、(1)アクティビスト戦略を取る投資家の増加、(2)それらアクティビスト投資家の対話手法の高度化、(3)国内機関投資家の議決権行使等に対する姿勢の変化、が挙げられる。
◆一方で、アクティビスト投資家の活動が活発化する中で、上場企業側の対応プロセスも定型化しつつある。本稿ではアクティビスト投資家対応における上場企業側の対応を、(1)アクティビスト投資家による株式の取得の察知、(2)書簡・面談対応、(3)キャンペーン等への対応、(4)株主提案への対応、(5)株主総会当日の対応、(6)アクティビスト投資家からの指摘事項に対する対応策の公表タイミング、の各プロセスを分解し、各プロセスにおける上場企業の対応について主な論点を整理している。
◆アクティビスト投資家の活性化による今後の日本企業への示唆としては、(1)株主価値最大化経営に向けたプレッシャーの更なる増大、(2)エンゲージメント等の内容が環境・社会問題に拡大、(3)アクティビスト投資家のM&Aへの介入の一般化、(4)事業会社による敵対的買収とアクティビスト投資家の相互作用の強化、が考えられる。
◆日本企業の多くは長年に亘って、安定株主を形成し、物言わない株主に長年慣れており、近年の資本市場からのプレッシャーに対し事業部門等を含め社内意識の対応が進んでいない企業も多い。アクティビスト投資家等のみならず事業会社等による敵対的買収に備えて、「平時」から資本市場からの目線と社内における意識のギャップ差を埋めていくことが求められている。
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