バーゼル条約

2013年6月7日

解説

有害な廃棄物等の国境を越える移動によって引き起こされる人の健康被害や、環境汚染を防止することを目的とする条約。正式名称は、“Basel Convention on the Control of Transboundary Movements of Hazardous Wastes and their Disposal”(有害廃棄物の国境を越える移動及びその処分の規制に関するバーゼル条約)で、略して「バーゼル条約」と呼ばれている。

経済規模の拡大や科学技術の進歩によって、人の活動に伴う廃棄物の発生量が増大し、処理しやすい場所を求めて次第に遠方へと輸送されるようになっていった。1970年代頃から欧米諸国を中心に、有害な廃棄物が国境を越えて輸送されるようになり、1980年代には欧州の先進国からアフリカの開発途上国に廃棄物が輸送され、放置されたことで環境汚染が生じるなどの問題が発生した。また、このような事態により事前の連絡や協議なしに有害な廃棄物が国境を越えて輸送され、最終的な処分の責任の所在も不明確であるという問題が顕在化した。この問題に対処するために、OECD及び国連環境計画(UNEP)で検討が行われた後、1989年3月にバーゼル条約が採択され、1992年5月に発効した。

[条約の概要]
・この条約に特定する廃棄物(「有害廃棄物及びその他の廃棄物」)の輸出には、輸入国の書面による同意を要する。
・締約国は、国内における廃棄物の発生を最小限に抑え、廃棄物の環境上適正な処理のため、可能な限り国内の処分施設が利用できるようにすることを確保する。
・廃棄物の不法取引を犯罪性のあるものと認め、この条約に違反する行為を防止し、処罰するための措置をとる。
・非締約国との廃棄物の輸出入を原則禁止とする。
・廃棄物の南極地域(南緯60度以南の地域)への輸出を禁止する。
・廃棄物の運搬及び処分は、許可された者のみが行うことができる。
・廃棄物には、国境を越える移動が開始される地点から処分の地点まで移動書類が伴うことを要する。
・廃棄物の国境を越える移動が契約通りに完了することができない場合、輸出国は当該廃棄物の引き取りを含む適切な措置をとる。
・廃棄物の国境を越える移動が輸出者又は発生者による不法取引によって行われた場合、輸出国は廃棄物の引き取りを含む適切な措置をとる。
・締約国は、廃棄物の処理を環境上適正な方法で行うため相互に協力するとともに、開発途上国に対して技術上その他の国際協力を行う。
・条約の趣旨に反しない限り、非締約国との間でも、廃棄物の国境を越える移動に関する二国間又は多数国間の取決めを結ぶことができる。

日本は、1993年にバーゼル条約に加入した。条約を実施するために「特定有害廃棄物等の輸出入等の規制に関する法律(バーゼル法)」の制定や、関連法として「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」の一部改正を行うなどで、必要な法的措置を講じている。

[参考資料]
バーゼル条約事務局
環境省「廃棄物・特定有害廃棄物等の輸出入」
経済産業省「3R政策」サイト内の「バーゼル条約・バーゼル法」
外務省「バーゼル条約」

(2013年6月7日掲載)

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