2026年01月16日
サマリー
◆2025年12月26日、金融審議会「市場制度ワーキング・グループ」(以下、市場制度WG)報告が公表された。これは、金融担当大臣からの諮問を受けて、不公正取引規制の強化等に関する課題について提言するものである。
◆市場制度WG報告は、インサイダー取引規制における公開買付者等関係者に発行者(公開買付け等の対象企業)の関係者を追加することや、「親会社」の定義を有価証券報告書等の記載に依拠させず、単に「他の会社の意思決定機関を支配している会社」とすることを提言している。課徴金制度については、①公開買付者等関係者によるインサイダー取引等、②大量保有・変更報告書の不提出・虚偽記載、③高速取引行為による相場操縦等の三つについて課徴金の算定方法等を見直すことや、課徴金減算制度において調査開始後の協力度合いに応じて課徴金を減算する制度を導入することを提言している。規制当局の調査権限については、開示検査・証券検査や外国金融商品取引規制当局に対する調査協力の権限に出頭命令を追加することや、金融商品取引業の無登録業等を犯則調査の対象とすることを提言している。
◆市場制度WGの審議の過程では、インサイダー取引規制や課徴金制度の在り方について抜本的な見直しを求める意見も上がったが、市場制度WG報告は近時の不公正取引や無登録業等の実態を踏まえた規制強化を提言するにとどまった。公開買付者等関係者によるインサイダー取引規制(金融商品取引法167条)の見直しも、今後の検討課題として残されている。
◆市場制度WG報告の提言内容は、2026年の通常国会への提出が予想される金融商品取引法改正案に反映されると見込まれる。なお、インサイダー取引規制における「親会社」の定義の見直しは、2025年12月26日に公表された「金融商品取引法施行令の一部を改正する政令(案)」等で、一足先に改正される予定である。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
「地域金融力強化プラン」の要点
ポイントは①地域企業の価値向上への貢献・地域課題の解決、②地域金融力発揮のための環境整備
2026年01月15日
-
ディスクロージャーワーキング・グループ報告の公表
有価証券届出書の提出免除基準の引き上げやセーフハーバー・ルールの拡大など
2026年01月08日
-
市場制度WG報告書 プロダクトガバナンスの確立
顧客本位原則改訂、T+1化、クラウドファンディングなど
2024年07月05日
同じカテゴリの最新レポート
-
ディスクロージャーワーキング・グループ報告の公表
有価証券届出書の提出免除基準の引き上げやセーフハーバー・ルールの拡大など
2026年01月08日
-
開示府令の改正案が公表(2026年から一部適用)
有価証券報告書のサステナビリティ情報、人的資本、総会前開示に関する改正案
2025年12月10日
-
フィンフルエンサーの規制と取締りに関する海外動向
国境を越えた規制協力、フィンフルエンサー向け教育や認証制度の必要性
2025年11月19日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
中国によるレアアース・レアメタルの輸出規制は日本の実質GDPを1.3~3.2%下押し
供給制約により、自動車産業を中心に生産活動の低迷が懸念される
2025年12月05日
-
2026年の日本経済見通し
1%弱のプラス成長を見込むも外需下振れや円急落、金利高等に注意
2025年12月23日
-
生成AIが描く日本の職業の明暗とその対応策
~AIと職業情報を活用した独自のビッグデータ分析~『大和総研調査季報』2024年春季号(Vol.54)掲載
2024年04月25日
-
中国経済:2025年の回顧と2026年の見通し
不動産不況の継続と消費財購入補助金政策の反動で景気減速へ
2025年12月23日
-
高市政権の財政政策は更なる円安を招くのか
財政支出の拡大ショックは翌年の円安に繋がる
2025年12月18日
中国によるレアアース・レアメタルの輸出規制は日本の実質GDPを1.3~3.2%下押し
供給制約により、自動車産業を中心に生産活動の低迷が懸念される
2025年12月05日
2026年の日本経済見通し
1%弱のプラス成長を見込むも外需下振れや円急落、金利高等に注意
2025年12月23日
生成AIが描く日本の職業の明暗とその対応策
~AIと職業情報を活用した独自のビッグデータ分析~『大和総研調査季報』2024年春季号(Vol.54)掲載
2024年04月25日
中国経済:2025年の回顧と2026年の見通し
不動産不況の継続と消費財購入補助金政策の反動で景気減速へ
2025年12月23日
高市政権の財政政策は更なる円安を招くのか
財政支出の拡大ショックは翌年の円安に繋がる
2025年12月18日

