市場制度ワーキング・グループの報告

インサイダー取引規制の対象者の範囲拡大や課徴金制度の見直し、調査権限等の拡充を提言

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  • 金融調査部 研究員 谷 京

サマリー

◆2025年12月26日、金融審議会「市場制度ワーキング・グループ」(以下、市場制度WG)報告が公表された。これは、金融担当大臣からの諮問を受けて、不公正取引規制の強化等に関する課題について提言するものである。

◆市場制度WG報告は、インサイダー取引規制における公開買付者等関係者に発行者(公開買付け等の対象企業)の関係者を追加することや、「親会社」の定義を有価証券報告書等の記載に依拠させず、単に「他の会社の意思決定機関を支配している会社」とすることを提言している。課徴金制度については、①公開買付者等関係者によるインサイダー取引等、②大量保有・変更報告書の不提出・虚偽記載、③高速取引行為による相場操縦等の三つについて課徴金の算定方法等を見直すことや、課徴金減算制度において調査開始後の協力度合いに応じて課徴金を減算する制度を導入することを提言している。規制当局の調査権限については、開示検査・証券検査や外国金融商品取引規制当局に対する調査協力の権限に出頭命令を追加することや、金融商品取引業の無登録業等を犯則調査の対象とすることを提言している。

◆市場制度WGの審議の過程では、インサイダー取引規制や課徴金制度の在り方について抜本的な見直しを求める意見も上がったが、市場制度WG報告は近時の不公正取引や無登録業等の実態を踏まえた規制強化を提言するにとどまった。公開買付者等関係者によるインサイダー取引規制(金融商品取引法167条)の見直しも、今後の検討課題として残されている。

◆市場制度WG報告の提言内容は、2026年の通常国会への提出が予想される金融商品取引法改正案に反映されると見込まれる。なお、インサイダー取引規制における「親会社」の定義の見直しは、2025年12月26日に公表された「金融商品取引法施行令の一部を改正する政令(案)」等で、一足先に改正される予定である。

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