金融商品取引法施行令等の改正 株式報酬に係る開示規制の見直し

臨報特例に関して、対象の拡大、適用範囲の明確化

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サマリー

◆2025年2月21日に金融商品取引法施行令および企業内容等の開示に関する内閣府令が改正され、2025年2月25日から適用が開始された。今般の改正は株式報酬に係る開示規制の見直しを受けたものである。

◆具体的な改正内容は、①有価証券届出書の提出に代えて、臨時報告書の提出をもって募集または売出しを行うことができる特例制度(臨報特例)について、譲渡制限付株式に係る譲渡制限期間を見直し、②臨報特例が適用される相手方の範囲を発行会社の完全子会社・完全孫会社以外の子会社の役職員にまで拡大、③事後交付型株式(RSU等)についても、臨報特例が適用されることを明確化するものである。

◆この改正により、要件を満たす場合について役職員への株式報酬に係る開示負担が軽減されることになる。ただし、株式報酬制度に係る課題は依然として存在する。令和元年改正会社法によって取締役への株式の無償交付は認められたが、取締役でない従業員や子会社の役職員について同様の手当てはされていない。株式報酬の実務的な負担を軽減する観点からも、今後行われる会社法改正に向けた議論において、従業員等への株式の無償交付についての議論にも注目が必要だ。

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