2023年12月15日
サマリー
◆2023年12月12日、金融審議会「市場制度ワーキング・グループ」・「資産運用に関するタスクフォース」が報告書をとりまとめ、公表した。これは、成長と分配の好循環の実現に向け、資産運用業の高度化やアセットオーナーの機能強化などを通じて、政府の進める資産運用立国を実現するために求められる取組みを提言するものである。
◆具体的には、①資産運用会社の高度化(大手金融グループにおける運用力向上やガバナンス改善・体制強化、プロダクトガバナンスに関する原則の策定、投資運用業のミドル・バックオフィス業務の委託等、日本版EMP(Emerging Managers Program)の実施、投資信託の一者計算の促進等)、②アセットオーナーに関する機能強化(顧客等の最善利益を確保する観点からの運用、DC加入者への運用商品の適切な選定・提案、情報提供の充実)、③スチュワードシップ活動の実質化(対話促進のための大量保有報告制度の見直し等)、④成長資金の供給と運用対象の多様化(VC向けのプリンシプルの策定、非上場株式を組み入れた投資信託等の活用促進、投資型クラウドファンディングの活性化、事後交付型株式報酬に係る開示規制の明確化、非上場有価証券のセカンダリー取引の活性化)、⑤家計の投資環境の改善(金融経済教育推進機構を中心とした金融経済教育の推進、累積投資契約のクレジットカード決済上限額の引上げ)が盛り込まれている。
◆法改正が必要な事項については、来年(2024年)の通常国会への法案提出が予想される。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
金融審議会市場制度WGの第二次中間整理
市場インフラの機能強化、スタートアップ企業等への円滑な資金供給等について提言
2022年12月23日
-
市場制度ワーキング・グループ 中間整理
持続的な経済成長を実現し、成果を家計へ還元する資本市場の諸施策
2022年07月05日
-
令和5年金商法等改正法案の概要
最善利益義務、説明義務、金融経済教育推進機構、四半期報告書など
2023年03月30日
-
横断的な最善利益義務の制定
令和5年金商法等改正法案
2023年06月05日
同じカテゴリの最新レポート
-
令和6年金商法等改正法 公開買付制度の改正内容の詳細
30%ルール適用除外となる僅少買付け等は0.5%未満の買付け等に
2025年07月15日
-
総会前開示の進展と今後求められる取組み
2025年3月期決算会社では約6割が総会前開示を実施
2025年07月15日
-
日本版スチュワードシップ・コード改訂
5年ぶりの改訂の目的は協働エンゲージメント推進と実質株主把握
2025年06月27日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
2025年度の最低賃金は1,100円超へ
6%程度の引き上げが目安か/欧州型目標の扱いや地方での議論も注目
2025年07月16日
-
のれんの償却・非償却に関する議論の展望
2025年07月07日
-
日本経済見通し:2025年7月
25年の賃上げは「広がり」の面でも改善/最低賃金の目安は6%程度か
2025年07月22日
-
対日相互関税率は15%で決着へ-実質GDPへの影響は短期で▲0.5%、中期で▲1.2%-
相互関税以外の関税措置も含めると実質GDPは中期で3.2%減少
2025年07月23日
-
新たな相互関税率の適用で日本の実質GDPは短期で0.8%、中期で1.9%減少
相互関税以外の関税措置も含めると実質GDPは中期で3.7%減少
2025年07月08日
2025年度の最低賃金は1,100円超へ
6%程度の引き上げが目安か/欧州型目標の扱いや地方での議論も注目
2025年07月16日
のれんの償却・非償却に関する議論の展望
2025年07月07日
日本経済見通し:2025年7月
25年の賃上げは「広がり」の面でも改善/最低賃金の目安は6%程度か
2025年07月22日
対日相互関税率は15%で決着へ-実質GDPへの影響は短期で▲0.5%、中期で▲1.2%-
相互関税以外の関税措置も含めると実質GDPは中期で3.2%減少
2025年07月23日
新たな相互関税率の適用で日本の実質GDPは短期で0.8%、中期で1.9%減少
相互関税以外の関税措置も含めると実質GDPは中期で3.7%減少
2025年07月08日