大量保有報告書(特例報告)等の提出状況

特例報告利用者での提出遅延は見られず

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サマリー

◆金融審議会「公開買付制度・大量保有報告制度等ワーキング・グループ」では、公開買付制度や大量保有報告制度の見直しが進められている。第1回会合(2023年6月5日)では、大量保有報告制度に係る論点として、重要提案行為や共同保有者の範囲の明確化、デリバティブの取扱い、エンフォースメント(実効性の確保)の強化等が挙げられた。以後、本稿公表時点までに5回の会合が開催され、報告書の取りまとめに向けて議論が進められている。

◆大量保有報告制度における特例報告制度とは、日々の営業活動等によって反復継続的に株券等の売買を行っている金融商品取引業者等に認められる簡便な報告方法である。金融商品取引業者等において、基準日時点で上場会社等の株券等保有割合が5%超となった場合に、大量保有報告書を提出しなければならない。また、大量保有報告書の提出後、基準日時点で、株券等保有割合が1%以上増減した場合や記載すべき重要な事項の変更があった場合には変更報告書の提出が求められる。

◆本稿では、特例報告制度を利用して提出された大量保有報告書と変更報告書の提出状況について調査した。「2022年6月1日~2023年5月31日」の1年間には、876件の大量保有報告書(特例)、3,982件の変更報告書(特例)が提出されており、これらについて提出遅延は見られなかった。

◆特例報告制度を利用して提出された大量保有報告書および変更報告書において、主たる提出者の保有目的についても調査を行ったところ、「純投資」または「業務(証券投資や顧客の資産運用等)」等が大半であった。ただし、一部では「政策投資」目的の保有も見られた。

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