2017年07月10日
サマリー
◆2017年6月8日、米国下院は、ドッド・フランク法を改正する内容を盛り込んだ“The Financial CHOICE Act”(以下、法案)を可決した。
◆一方、米国財務省は、2017年6月12日に「経済的機会を創出する金融システム 銀行及び信用組合」と題する報告書を公表した。これは、2017年2月3日に発令された大統領令「米国金融システム規制のための中核原則」で、トランプ大統領がムニューシン財務長官に、現行の米国金融規制に関してレビューすることを求めたものに対して、報告されたものである。
◆この報告書は、トランプ政権の金融規制に関する見直しについて、初めて見解を示したものであり、4つの分野に分けて報告されるもののうちの第1弾とされている。報告書では、財務省が多くの規制の見直しを提案しているが、各々の提案に関して実際に改正権限を有するのは、議会や他の金融規制当局である。
◆法案の上院での可決・成立は先行き不透明であり、上院共和党は、民主党の理解を得られる法案にするため、相当の修正を迫られることが想定される。
◆報告書では、ボルカー・ルールに関して中小金融機関の規制負担を軽減するなど、民主党の同意を得られる可能性があると考えられる提案もしている。その意味で、報告書の提案が、上院での法案修正において、盛り込まれるかどうかについても注視する必要があるだろう。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
英国が非上場株式の流通市場を創設へ
非上場株式のセカンダリー取引を促進する「PISCES」とは
2025年04月03日
-
外為法の対内直接投資審査制度の改正案
中国関連組織が投資する場合を念頭に、審査対象となる範囲を拡大
2025年03月26日
-
インターネット取引におけるプロダクトガバナンス
非対面取引でのプロダクトガバナンス体制についての欧州からの示唆
2025年03月13日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
トランプ関税で日本経済は「漁夫の利」を得られるか?
広範な関税措置となっても代替需要の取り込みで悪影響が緩和
2025年03月03日
-
地方創生のカギとなる非製造業の生産性向上には何が必要か?
業種ごとの課題に応じたきめ細かい支援策の組み合わせが重要
2025年03月12日
-
中国:全人代2025・政府活動報告を読み解く
各種「特別」債で金融リスク低減と内需拡大を狙う
2025年03月06日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
-
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
トランプ関税で日本経済は「漁夫の利」を得られるか?
広範な関税措置となっても代替需要の取り込みで悪影響が緩和
2025年03月03日
地方創生のカギとなる非製造業の生産性向上には何が必要か?
業種ごとの課題に応じたきめ細かい支援策の組み合わせが重要
2025年03月12日
中国:全人代2025・政府活動報告を読み解く
各種「特別」債で金融リスク低減と内需拡大を狙う
2025年03月06日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日