CGコード開示の動向③ 政策保有株式に関する方針等の現況

説明内容は依然不明瞭も、一歩前進 “Nothing will come of nothing” (※1)

RSS

サマリー

◆2015年12月に、3月決算の上場会社によるコーポレートガバナンス・コードに基づく開示情報を記載した「コーポレート・ガバナンスに関する報告書」の提出の期限を迎えた。


◆東証1部上場会社による10月末までの提出分では、238社中227社において「政策保有に関する方針」に関する記述が確認できた。その中には少数ではあるが、「原則、保有しない」方針(17社)や「削減方針」(6社)とするものもあった。


◆また、238社中222社 において「議決権の行使」基準に関する記述が確認できた。そのうち、一定の条件に該当した場合に、「反対」の議決権行使を行う可能性を明示しているのは、11社にとどまっている。


◆CG報告書での開示は義務付けられていないが、政策保有株式の「中長期的な経済合理性や将来の見通し」の検証に関する記述が238社中169社 において確認できた。そのうち、検証結果によっては、政策保有株式を「売却」する可能性を明示しているのは、45社にとどまっている。


◆政策保有株式を巡っては、これまでも株主・投資者と上場会社の間で認識のギャップがあった。こうした認識のギャップを埋めて、「建設的な対話」を通じた相互理解・共通認識を形成するためにも、政策保有株式に対する株主・投資者の懸念に応える情報開示が求められよう。


(※1)William Shakespeare “King Lear” Act 1 Scene 1

このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。

執筆者のおすすめレポート