マーケット・リスク相当額の計測手法の見直し
マーケット・リスク相当額の不算入特例が厳格化
2021年12月17日
サマリー
◆2021年9月28日、金融庁が、「バーゼルⅢの最終合意」を踏まえた、銀行の自己資本比率規制の改正案等を公表した。マーケット・リスク関連の見直しは、原則として2023年3月31日から適用される。
◆現行制度では、トレーディング資産・負債が一定額未満の場合、マーケット・リスク相当額の算入が不要という特例が定められており、多くの銀行はマーケット・リスク相当額を算入していない。改正案では、特例に外国為替リスクが一定額未満という要件が追加されるため、新たにマーケット・リスク相当額の算入が求められるケースが生じ得る。
◆改正案では、バンキング勘定に分類される金融商品とトレーディング勘定に分類される金融商品が明確化されている(原則として、前者は信用リスク・アセット、後者はマーケット・リスク相当額の算出対象)。ただし、上場株式等、原則としてトレーディング勘定に分類されるものでも、金融庁に届け出ることでバンキング勘定に分類できる。
◆改正案では、マーケット・リスク相当額の算出方法(標準的方式・内部モデル方式)も大幅に見直されている。また、マーケット・リスク相当額を、現行の標準的方式による算出額に一定の値をかけて算出する簡易的方式が導入されている。
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