雇用の量的改善がトーンダウン

2013年9月の米雇用統計: QE3縮小開始の重石

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2013年10月23日

  • 笠原 滝平

サマリー

◆2013年9月の非農業雇用者数は8月から増加幅が縮小した。増加ペースの前月差の6ヵ月平均は16万人程度と、雇用の改善ペース鈍化を示す内容であった。


◆業種別に見ると、これまで雇用者数の増加を牽引してきた民間・サービス部門で増加ペースの鈍化が見られた。民間・生産部門は自動車を除く耐久財が増加したが、政策不透明感が、雇用増加を抑制しているとみられる。


◆失業率は7.2%と8月から低下したが、その幅は小さく、背景には労働参加率の低下がある。就職を諦めた者の増加が失業率低下の要因の一つであり、失業率低下をそのまま雇用環境の改善と結びつけることはできない。長期失業者の割合や経済的理由によるパートタイム労働者の高止まりなど、ネガティブな内容が散見された。会社都合の失業者の減少など前向きに評価できる側面もあるが、持続性は疑わしい。


◆金融政策を考える上では、9月の雇用統計はQE3縮小開始の重石となる可能性がある。QE3縮小開始は2014年に持ち越される可能性が高まっている。大和総研では、仮に12月FOMCで縮小開始が決定されるとしても、縮小幅は非常に小さく、市場に対して経済状況で買い入れ額を変動させるというメッセージを強調する程度と見込んでいる。

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