過去分の上方修正はポジティブ

2013年1月の雇用統計:米国の雇用環境改善ペースは若干鈍化

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2013年02月04日

  • 笠原 滝平

サマリー

◆2013年1月の非農業雇用者数は前月差15.7万人増となり、市場予想を下回った。ただし、ベンチマーク調整や季節調整が行われて過去分の数値が変更されたため、単純にコンセンサスを下回ったと判断できない。むしろ、2012年11月、12月はそれぞれ大幅に上方修正されており、昨年末の雇用改善ペースは加速していたとみられる。

◆失業率は前月から0.1%ポイント上昇し、7.9%となった。今月分は人口調整の影響を受けており、2012年までの数値と連続性が失われている。人口調整の影響を除いたデータでみても、失業率は0.1%ポイントの上昇で姿は変わらない。就職を諦めた者(非労働力人口)と失業者が増え、就業者が減ったため、失業率の0.1%ポイント上昇より実際の内容は良くないとみられる。

◆事業所調査では、ベンチマーク調整など過去分の修正があり、2012年で33.5万人分の上方修正がなされるなど、これまでの雇用環境をより前向きに評価できる修正であった。家計調査では、失業率が7.9%と2012年12月から0.1%ポイント上昇した。非労働力人口が増加する中で失業率が上昇している点はネガティブ。ただし足下で雇用者数の増加に伴い就業率に改善の兆しがみられるため、今後は労働参加率の上昇(非労働力人口の減少)を促す可能性がある。今後の雇用環境をみる上で、雇用者数、失業率に加え、労働参加率の変動にも注目すべきだろう。

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