サマリー
- 実質GDP成長率見通し:23年度+1.7%、24年度+1.3%:本予測のメインシナリオにおける実質GDP成長率は23年度+1.7%、24年度+1.3%(暦年ベースでは23年+1.8%、24年+1.5%)と見込む。「成長のゲタ」を除いた24年度の実質GDP成長率は+0.7%であり、経済活動の正常化の一巡もあって緩やかな景気回復を見込む。春闘での高水準の賃上げ率やシリコンサイクルの回復局面入り、政府の経済対策などが景気を下支えするだろう。インフレの持続性が高まり、日本銀行(日銀)は24年4月にイールドカーブ・コントロール(YCC)の撤廃とマイナス金利政策の解除(ゼロ金利政策への移行)を実施するとみている。海外経済の下振れリスクには引き続き細心の注意が必要であり、24年度は国内金利の更なる上昇や円高の急伸の可能性も考えられる。
- 論点①:資本ストックの最適化と省人化投資で供給力の強化を:日本の資本ストックには、①量の不足、②質の劣化、③低生産性分野への偏在という3つの課題が見られ、それぞれ1~2割程度、潜在GDP(供給力)を押し下げていると推計される。課題解決には高生産性分野に設備投資が行われることが重要だが、業種別・形態別に見ると、ソフトウェアなど非製造業の無形固定資本等で限界生産性が高い。設備投資のうち無形固定資本に向かう比率が米国並みになれば潜在GDPを2%程度押し上げる効果も期待できる。政府には対象を限定した設備投資減税などの政策が求められよう。また、深刻化する人手不足を緩和するためには省人化投資が有効だろう。一定の前提に基づいて試算すると、年間16兆円程度の省人化投資で、今後10年間で労働投入量の4%程度を代替できるとみられ、人口動態による就業者の減少分を補うことも可能とみられる。
- 論点②:「デフレ脱却」と「2%インフレ」は実現するか:足元のデフレリスクを定量的に評価するため「デフレリスク指数」を作成すると、直近の日本の水準は過去との比較や主要国との比較でも低位にあり、日本経済は再びデフレに戻るリスクは低いとみられる。さらに広範なデータをヒートマップで可視化すると、「物価」「労働市場」関連指標は足元で過熱感を示す一方、「賃金」関連指標の改善が遅れている。デフレ脱却には賃金が名目・実質ともに上昇する必要があるが、24年春闘では高水準の賃上げ率となり、実質賃金は24年7-9月期に前年比でプラスに転換する見込みだ。日銀は同年4月に金融緩和策の転換を図り、政府は早ければ24年度後半にもデフレ脱却を宣言する可能性がある。
- 日銀の政策:24年春闘での賃上げ率がある程度判明する24年4月の金融政策決定会合で、日銀はYCCの撤廃とマイナス金利政策の解除に踏み切ると想定している。ゼロ金利政策に移行し、緩和的な金融環境は当面維持されるだろう。その後、日銀は経済・物価情勢を注視しつつ、緩和の度合いを段階的に縮小させていくとみている(24年10-12月期に0.25%の利上げを想定)。
【主な前提条件】
(1)名目公共投資:23年度+4.3%、24年度+2.5%
(2)為替レート:23年度145.4円/㌦、24年度149.6円/㌦
(3)原油価格(WTI):23年度77.8ドル/バレル、24年度75.9ドル/バレル
(4)米国実質GDP成長率(暦年):23年+2.4%、24年+1.5%
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