「逆イールド」が目前に迫るFRBの最終手段

残された唯一の選択肢は「ステルス・逆・ツイスト・オペ」

RSS

2019年04月19日

  • 小林 俊介
  • 経済調査部 研究員 廣野 洋太

サマリー

◆3月下旬に米国債の長期金利が短期金利を下回る「逆イールド」が一時的に示現した。同現象の直接の背景はFRBの「ハト化(保有資産圧縮政策の早期停止公表)」である。しかし、景気循環から見ても、労働市場における構造問題(負の履歴効果の存在)から見ても、長期金利の顕著な上昇を自然体で期待することは当面難しそうだ。そしてイールドカーブが極端に平坦な状況が続けば、クレジットの拡大サイクルの反転と、それに伴う景気後退が発生する可能性が高まる。

◆「逆イールド」が目前に迫る中でもなお、FRBは米国企業の債務レバレッジを抑制する目的で、追加的な金融引締めを企図するだろう。しかし上述した要因から「政策金利」の引き上げは当面難しい。「量」の政策も、放棄してしまった。残された唯一の手段は「質」に関する部分-保有資産(米国債)の中心年限短期化による、イールドカーブのスティープ化-となるだろう。この市場調節が機能している間に限り、「逆イールド⇒景気後退シナリオ」が回避されることになる。

このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。