サマリー
◆経済見通しを改訂:2016年4-6月期GDP一次速報の発表を受けて、経済見通しを改訂した。改訂後の実質GDP予想は2016年度が前年度比+0.9%(前回:同+0.7%)、2017年度が同+0.9%(同:同+0.7%)である。足下で日本経済は「踊り場」局面が継続しているものの、先行きに関しては、①実質賃金の増加、②原油安と交易条件の改善、③経済対策の策定、などの国内要因が下支え役となり、緩やかに回復する見通しである。ただし、中国を中心とする海外経済の下振れリスクには細心の注意が必要となろう(→詳細は、熊谷亮丸他「第190回 日本経済予測」(2016年8月19日)参照)。
◆Brexitを受けて欧州で金融不安が再燃すると何が起きるのか?:今回のレポートでは、Brexitが決定したことで起こり得る、金融システムを通じたリスクについて定量的に検証した。Brexitを受けた足下のリスクは英国における不動産価格の下落であるが、仮に不動産価格が急落しても英国銀行、英国経済、世界経済への影響は限定的だ。また、イタリアの不良債権処理問題は、イタリア経済には一定の打撃を与え得るが、世界経済への影響は軽微なものにとどまる。ただし、これらの問題が複合化して、欧州の金融システム全体に危機が波及した場合、世界GDPを2.7%、日本のGDPを1.9%下押しする可能性がある。今後も欧州の金融システムの動向からは目が離せない状況が続くだろう。
◆日本経済のリスク要因:日本経済のリスク要因としては、①中国経済の下振れ、②米国の「出口戦略」に伴う新興国市場の動揺、③地政学的リスクを背景とする「リスクオフ(円高・株安)」、④英国のEU離脱や欧州金融機関のデレバレッジ、の4点に留意が必要である。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
関連のレポート・コラム
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
2024年の日本経済見通し
緩やかな景気回復と金融政策の転換を見込むも海外経済リスクに注意
2023年12月21日
-
中国経済:2023年の回顧と2024年の見通し
24年の成長率目標は5%か?達成の鍵は民営企業へのサポート強化
2023年12月21日
-
2024年の米国経済見通し
①個人消費の腰折れ、②インフレ率の高止まり、③政治の停滞がリスク
2023年12月21日
-
2024年度税制改正大綱解説
定額減税は経済対策としては疑問だが、インフレ調整策としては有効
2023年12月25日
-
四半期報告書の廃止に関する改正法の成立
四半期報告書が廃止された後の四半期決算短信の内容は?
2023年12月04日
2024年の日本経済見通し
緩やかな景気回復と金融政策の転換を見込むも海外経済リスクに注意
2023年12月21日
中国経済:2023年の回顧と2024年の見通し
24年の成長率目標は5%か?達成の鍵は民営企業へのサポート強化
2023年12月21日
2024年の米国経済見通し
①個人消費の腰折れ、②インフレ率の高止まり、③政治の停滞がリスク
2023年12月21日
2024年度税制改正大綱解説
定額減税は経済対策としては疑問だが、インフレ調整策としては有効
2023年12月25日
四半期報告書の廃止に関する改正法の成立
四半期報告書が廃止された後の四半期決算短信の内容は?
2023年12月04日