サマリー
◆2025年1-3月期の全産業(金融業、保険業除く)の売上高は前年比+4.3%と16四半期連続の増収、経常利益は同+3.8%と2四半期連続の増益となった。季節調整値で見ると、売上高は前期比+1.5%と4四半期連続で増加した一方、経常利益は同▲2.6%と2四半期ぶりに減少した。製造業の経常利益が同▲15.2%と大幅減益に転じたことが主因だ。設備投資(ソフトウェア除く)は前年比+6.9%と16四半期連続で増加した。一部業種では設備投資の先送りなどが発生したとみられるが、全体で見れば前期の設備投資が軟調だった反動もあって堅調な結果となった。
◆4-6月期の経常利益(季節調整値)は足踏みするとみている。米トランプ政権による関税政策が幅広い企業の収益を押し下げるだろう。また、関税政策を巡る不確実性の高まりが買い控えや設備投資の手控えを招く恐れがある。他方、7-9月期以降は増益基調に復するとみている。関税政策の不確実性は極めて大きいものの、当社のメインシナリオでは対米交渉の進展もあって「相互関税」の上乗せ税率が7月以降も適用されないと想定しており、収益環境は徐々に改善するとみている。またマクロで見た家計の購買力が改善することで、サービス業を中心に企業業績が押し上げられよう。設備投資は4-6月期にかけて軟調となる一方、7-9月期以降は緩やかに持ち直す見込みだ。
◆今回の法人企業統計の結果を受け、2025年1-3月期のGDP2次速報(6月9日公表予定)では実質GDP成長率が前期比年率▲0.8%と、小幅ながら1次速報(同▲0.7%)から下方修正されると予想する。
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