サマリー
◆2024年1-3月期の全産業(金融業、保険業除く)の売上高は前年比+2.3%、経常利益は同+15.1%と、5四半期連続の増収増益となった。資本金10億円以上の大企業は減収増益となった一方、資本金1億円未満の中小企業が増収増益となった。季節調整値で見ると、全産業(金融業、保険業除く)の売上高は前期比▲0.4%、経常利益は同+6.7%と減収増益であった。設備投資(ソフトウェア除く)は前年比+6.8%と12四半期連続で増加した一方、季節調整値では前期比▲0.5%と3四半期ぶりに減少した。海外経済の先行き不透明感の強さや建設業の工期長期化などもあって、旺盛な設備投資意欲に対して実績が伴いにくい状況が継続している。
◆2024年4-6月期以降の経常利益(季節調整値)は前期比で増加傾向が続くとみている。人件費などの増加分を価格に転嫁する動きに加え、実質賃金の上昇によって家計の購買力が向上し、企業業績が改善するだろう。シリコンサイクル(世界半導体市場に見られる循環)の回復や自動車の挽回生産、サービス消費などの持ち直しで関連業種の業況も改善する見込みだ。設備投資は、企業の旺盛な設備投資需要や潤沢な手元資金を背景に増加基調に転じるとみている。ただし、建設業などにおける人手不足が設備投資を抑制するリスクには注意が必要だ。
◆今回の法人企業統計の結果を受けて、2024年1-3月期GDP2次速報(6月10日公表予定)では実質GDP成長率が前期比年率▲1.0%と、1次速報(同▲2.0%)から上方修正されると予想する。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
2025年4月全国消費者物価
エネルギー高対策の補助縮小や食料価格高騰が物価を押し上げ
2025年05月23日
-
AI時代の日本の人的資本形成(個人編)
AI時代を生き抜くキャリア自律に向けた戦略
2025年05月22日
-
2025年3月機械受注
民需(船電除く)は事前予想に反して2カ月連続で増加
2025年05月22日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
「相互関税」による日本の実質GDPへの影響は最大で▲1.8%
日本に対する相互関税率は24%と想定外に高い水準
2025年04月03日
-
「相互関税」を受け、日米欧中の経済見通しを下方修正
2025年の実質GDP成長率見通しを0.4~0.6%pt引き下げ
2025年04月04日
-
米国による25%の自動車関税引き上げが日本経済に与える影響
日本の実質GDPを0.36%押し下げる可能性
2025年03月27日
-
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
-
日本経済見通し:2025年3月
トランプ関税で不確実性高まる中、25年の春闘賃上げ率は前年超えへ
2025年03月24日
「相互関税」による日本の実質GDPへの影響は最大で▲1.8%
日本に対する相互関税率は24%と想定外に高い水準
2025年04月03日
「相互関税」を受け、日米欧中の経済見通しを下方修正
2025年の実質GDP成長率見通しを0.4~0.6%pt引き下げ
2025年04月04日
米国による25%の自動車関税引き上げが日本経済に与える影響
日本の実質GDPを0.36%押し下げる可能性
2025年03月27日
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
日本経済見通し:2025年3月
トランプ関税で不確実性高まる中、25年の春闘賃上げ率は前年超えへ
2025年03月24日