サマリー
◆労働者数の潜在的な増加余地を表す「余剰労働力」は30万人程度まで減少しており、人手不足は長期化する見通しだ。賃金上昇圧力が高いままで推移することが予想される。一方、賃上げは資本の割安感を高めると考えられ、名目時給1%の上昇は設備投資を0.4%促進すると推計される。
◆日本企業は米国企業に比べて対外直接投資が多い一方、人的資本投資は少ない。人的資本投資を増やすことで労働生産性を効率的に引き上げることもできるだろう。また、正規雇用への転換によって非正規雇用比率が5%pt低下すれば、潜在GDPは1.6%増加すると試算される。
◆名目賃金の上昇が投資拡大と労働生産性向上につながる好循環を生み出すことで、実質賃金が持続的に上昇することが重要である。実質賃金の引き上げを通じて所得見通しが改善し、勤労者世帯の平均消費性向がコロナ禍前の水準まで上昇すれば、個人消費は7~10兆円程度押し上げられる。
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