サマリー
◆労働者数の潜在的な増加余地を表す「余剰労働力」は30万人程度まで減少しており、人手不足は長期化する見通しだ。賃金上昇圧力が高いままで推移することが予想される。一方、賃上げは資本の割安感を高めると考えられ、名目時給1%の上昇は設備投資を0.4%促進すると推計される。
◆日本企業は米国企業に比べて対外直接投資が多い一方、人的資本投資は少ない。人的資本投資を増やすことで労働生産性を効率的に引き上げることもできるだろう。また、正規雇用への転換によって非正規雇用比率が5%pt低下すれば、潜在GDPは1.6%増加すると試算される。
◆名目賃金の上昇が投資拡大と労働生産性向上につながる好循環を生み出すことで、実質賃金が持続的に上昇することが重要である。実質賃金の引き上げを通じて所得見通しが改善し、勤労者世帯の平均消費性向がコロナ禍前の水準まで上昇すれば、個人消費は7~10兆円程度押し上げられる。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
第220回日本経済予測
賃上げの持続力と金融政策正常化の行方①自然利子率の引き上げ、②投資と実質賃金の好循環、を検証
2024年02月21日
-
資本ストックの「量」「質」「偏在」の改善と省人化投資で供給力強化を
費用対効果の高い設備投資とそのインパクト
2023年11月28日
関連のレポート・コラム
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
日本経済見通し:2024年2月
2025年度にかけて1%前後のプラス成長と2%インフレを見込む
2024年02月22日
-
ビットコイン現物ETF、日本で組成可能か?
米SEC承認を受けて、日本で導入することの法制度上の是非を考察
2024年02月13日
-
第220回日本経済予測(改訂版)
賃上げの持続力と金融政策正常化の行方①自然利子率の引き上げ、②投資と実質賃金の好循環、を検証
2024年03月11日
-
日本経済見通し:2024年3月
24年の春闘賃上げ率5%超えを受け、日銀はマイナス金利政策を解除
2024年03月22日
-
2024年の日本経済見通し
緩やかな景気回復と金融政策の転換を見込むも海外経済リスクに注意
2023年12月21日
日本経済見通し:2024年2月
2025年度にかけて1%前後のプラス成長と2%インフレを見込む
2024年02月22日
ビットコイン現物ETF、日本で組成可能か?
米SEC承認を受けて、日本で導入することの法制度上の是非を考察
2024年02月13日
第220回日本経済予測(改訂版)
賃上げの持続力と金融政策正常化の行方①自然利子率の引き上げ、②投資と実質賃金の好循環、を検証
2024年03月11日
日本経済見通し:2024年3月
24年の春闘賃上げ率5%超えを受け、日銀はマイナス金利政策を解除
2024年03月22日
2024年の日本経済見通し
緩やかな景気回復と金融政策の転換を見込むも海外経済リスクに注意
2023年12月21日