サマリー
◆2023年4-6月期の全産業(金融業、保険業除く)の売上高は前年同期比+5.8%、経常利益は同+11.6%と、2四半期連続の増収増益となった。供給制約の緩和が製造業の業績を押し上げたほか、製造業、非製造業ともに投入コストの減少や価格転嫁の進展が増収に繋がった。季節調整値で見ると、全産業(金融業、保険業除く)の売上高は前期比+1.5%と9四半期連続で増収を維持し、経常利益は同+9.5%と2四半期連続の増益となった。設備投資(ソフトウェア除く)は前年同期比+4.4%と前期(同+10.0%)から減速し、季節調整値では前期比▲1.6%と5四半期ぶりのマイナスに転じた。非製造業を中心に設備投資の手控え感が見られる。
◆2023年7-9月期以降の経常利益(季節調整値)は前期比で増加傾向が続くとみている。製造業では、引き続き自動車の挽回生産が関連業種の追い風となろう。他方、外需が縮小する資本財セクターや、業況が底這い圏にある半導体関連業種などでは業績が伸び悩むとみている。非製造業では、中国からの団体旅行客の回復が企業収益の追い風になるとみている。小売業や卸売業、サービス業などで収益の改善が見込まれる。設備投資は、緩やかな増加基調にとどまるとみている。
◆今回の法人企業統計の結果を受けて、2023年4-6月期GDP2次速報(9月8日公表予定)では、実質GDP成長率が前期比年率+5.6%と、1次速報(同+6.0%)から下方修正されると予想する。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
関連のレポート・コラム
最新のレポート・コラム
-
サステナビリティ情報の保証をめぐる動向
ISSA5000の公表、各国の規制、わが国での検討状況
2024年12月04日
-
課税最低限「103万円の壁」引上げによる家計と財政への影響試算(第3版)
様々な物価・賃金指標を用いる案および住民税分離案を検証
2024年12月04日
-
消費データブック(2024/12/3号)
個社データ・業界統計・JCB消費NOWから消費動向を先取り
2024年12月03日
-
DB運用見える化と従業員ファイナンシャル・ウェルネスの向上
事業主に求められるDB情報周知の強化と金融経済教育機会の充実
2024年12月03日
-
上場廃止と従業員エンゲージメント
2024年12月04日
よく読まれているリサーチレポート
-
中国:金融緩和など景気刺激策を発表も効果は?
人民銀行総裁が預金準備率の引き下げ、住宅市場テコ入れ策を「予告」
2024年09月26日
-
石破新政権誕生、経済政策の注目点は?
デフレ脱却後も見据えた供給面重視の経済・財政運営に期待
2024年10月03日
-
石破政権の看板政策「2020年代に最低賃金1500円」は達成可能?
極めて達成困難な目標で、地方経済や中小企業に過重な負担の恐れ
2024年10月17日
-
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
-
中国経済見通し:なりふり構わぬテコ入れ策発動
金融緩和、住宅市場テコ入れ策、株価対策、国債増発
2024年10月22日
中国:金融緩和など景気刺激策を発表も効果は?
人民銀行総裁が預金準備率の引き下げ、住宅市場テコ入れ策を「予告」
2024年09月26日
石破新政権誕生、経済政策の注目点は?
デフレ脱却後も見据えた供給面重視の経済・財政運営に期待
2024年10月03日
石破政権の看板政策「2020年代に最低賃金1500円」は達成可能?
極めて達成困難な目標で、地方経済や中小企業に過重な負担の恐れ
2024年10月17日
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
中国経済見通し:なりふり構わぬテコ入れ策発動
金融緩和、住宅市場テコ入れ策、株価対策、国債増発
2024年10月22日