なぜ今、「アニマルウェルフェア」に向き合うべきなのか

二の足を踏む日本、「家畜を苦しませない」の世界的潮流に迅速な対応を

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2021年12月06日

  • 経済調査部 市川 拓也

サマリー

◆世界動物保護協会(World Animal Protection)の動物保護指数(API)の評価を見ると、日本は2020年版でアニマルウェルフェアの法規制にかかる6項目のうち5項目が、アメリカ等を含む5カ国で、最下位となっている。特に畜産動物の保護等にいたっては最低のG評価である。

◆こうした現状に対して、日本では畜産に関するアニマルウェルフェアへの一般の関心は低いままであるばかりか、生産者や政府も国内規制において対応が必要なことを認識しながらも、厳しい規制の導入に対して二の足を踏んでいるように感じられる。

◆しかし、中長期的には、生産者として世界的な規制強化への流れを無視するわけにはいかない。また、食品企業にとっては今後予想される投資家サイドからの圧力の高まりへの対応が必要である。さらに、政府が推進する畜産物の輸出拡大や、訪日客に「食」をアピールするためにも、畜産のアニマルウェルフェア対応は欠かせないであろう。

◆消費者、生産者、食品企業に共通して言えるであろうことは、いずれもが家畜を苦しませたいわけでないということである。だからこそ、仮に一時的な多額投資の必要性がアニマルウェルフェアの向上を阻んでいるのであれば、国や自治体等はそのために必要な資金支援を十分に行うべきである。

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