なぜ今、「ワンヘルス(One Health)」なのか

~人、動物、生態系の健康一体で、動物由来の感染症を防げ~

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2021年03月04日

  • 経済調査部 市川 拓也

サマリー

◆「ワンヘルス(One Health)」は、人間と動物、生態系の健康を一体として捉える考え方である。人と動物に共通する感染症は人獣共通感染症と言われ、昨今の新型コロナウイルスによるものもこの一つと考えられているが、このような深刻な感染症に限らず、動物に由来する感染症の発生を全体として減らすためにも、人間だけでなく動物や生態系の健康を一体として取り組むことが重要である。

◆ワンヘルスに向けた取り組みは医師、獣医師といった医療の専門家だけが行うものではない。福岡県では「福岡県ワンヘルス推進基本条例」を制定したほか、国際自然保護連合日本委員会等の12団体からは「人と動物、生態系の健康はひとつ~ワンヘルス共同宣言」が出されている。

◆自らが感染症にかからないためには、身近なペットや家畜が健康で、病原体の宿主となり得る野生動物の居場所を奪うような環境破壊を行わないことが大切、というワンヘルスのロジックは一般市民にもわかりやすい。このことから、「ワンヘルス」は意外に早く人々に浸透し、早期の具体的な動きにつながることもあり得るのではなかろうか。

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