サマリー
◆日本銀行が4月27日に公表した「経済・物価情勢の展望」(基本的見解)(2021年4月)で示された政策委員の大勢見通しの中央値を見ると、実質GDP成長率は内外需要の強まりを主因に2022年度までの見通しがいずれも前回から上方修正された。コアCPI上昇率の見通しについては、予測期間を通して緩やかながらもインフレが加速していく見通しが示されたものの、日本銀行が目指す物価安定目標である2%のインフレ率には2023年度でも届かないことが示唆された。
◆物価見通しに関して、供給制約に関する記述が中心的な見通しでも扱われる形へと変更された。日本では供給制約が大幅なインフレを引き起こす可能性は低いとみられているものの、米国ではこうしたリスクが懸念されている。供給制約に伴うコスト・プッシュ型のインフレは供給に減少圧力をかけるため、利上げによって需要も減少させてしまえば、実体経済への悪影響は一層大きくなってしまう。このため供給制約によるインフレ圧力が長期的にかかり続ければ、こうした問題が顕在化した国の中央銀行は難しい選択を迫られよう。
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