2020年3月貿易統計

新型コロナウイルスの影響で輸出は大幅減

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2020年04月20日

  • 鈴木 雄大郎
  • 小林 俊介

サマリー

◆2020年3月の貿易統計によると、輸出金額は前年比▲11.7%と大幅に減少し、コンセンサス(同▲9.4%)を下回った。季節調整値で見ると、前月比▲4.1%と2ヶ月ぶりに減少した。

◆輸入金額は前年比▲5.0%と11ヶ月連続で前年割れとなった。季節調整値では前月比+7.2%と3ヶ月ぶりに増加した。2月は中国からの輸入が急減し前年比で大幅なマイナスとなったが、3月は同マイナス幅が縮小した。品目別に見ると、価格の急落や需要減を受け鉱物性燃料が押し下げたが、通信機などが押し上げに寄与した。

◆輸出数量(大和総研による季節調整値)は前月比▲6.4%と2ヶ月ぶりに減少した。地域別に見ると、米国向け(同▲8.1%)、アジア向け(同▲5.2%)、EU向け(同▲0.9%)のいずれも減少した。3月中旬以降、欧米各国では新型コロナウイルスの影響によって営業活動が停止しており、日本からの輸出も米国向けを中心に減少した。米国向けでは自動車や同部分品、原動機など資本財を中心に大幅に減少した。そのほかの品目でも軒並みマイナスとなっており、営業活動停止の影響が鮮明に表れている。アジア向けも自動車が大幅に減少したほか、原料品などの中間財も下押しした。EU向けでも自動車や鉄鋼などが減少に寄与している。

◆先行きの輸出数量は、当面は新型コロナウイルスの影響によって減少が続くだろう。特に欧米向けの資本財や耐久消費財輸出は4月も大幅な減少が見込まれる。他方、新規感染者にピークアウトが見られる地域では、ロックダウンの緩和を模索する動きが出始めている。徐々に経済活動が再開されれば、それらの地域向け輸出も回復へ転じることとなろう。しかしながら、ロックダウンの緩和によって第2波、第3波の感染再拡大のリスクもあり、経済がコロナショック前の状態に戻るには相当な時間を要するとみられ、輸出がショック前の水準に戻るのも先のこととなるだろう。

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