サマリー
◆被災地を支援する活動として、近年ではシェアリングエコノミーの活用が広がりを見せている。避難できる住居などの提供者を募り、被災者等の利用者とマッチングを行うしくみを通じて、多数の提供者が被災者やボランティア活動を助けることができる点はシェアリングエコノミーの強みである。
◆災害時、特に被災者にとって重要となるのが宿泊場所の確保であり、避難所がその役割を果たしてきたが、そもそも避難所に入れない、避難所の生活条件が厳しいという問題がある。この点でシェアリングエコノミーの一翼を担う「民泊」が鍵を握っていると言える。
◆民泊に関して興味深いのが、徳島県阿南市で行われている「シームレス民泊」である。平時に民泊として事業を行い、災害発生時には避難所としてシームレスに機能する点に特徴がある。
◆災害時におけるシェアリングエコノミーのポテンシャルは大きいが、任意の支援であることから確実に実施される保証はない。災害による被害拡大を抑え、地域の持続可能性を高めるためにも、今後、行政としては災害時に早急に大きな支援の輪を築けるよう、シェア事業者との提携を積極的に行っていくことが望まれる。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
シェアハウス:シェアエコ時代における可能性
~民泊だけでない「住居のシェア」~
2019年07月22日
-
シェアリングエコノミー・モデルガイドラインの改訂
求められるシェア事業者の取引等への関与の充実
2019年06月04日
-
新法による民泊、法施行後1年でどうなったのか
届出住宅数は低水準ながらも、増加傾向続く
2019年05月28日
-
サブスクリプションとシェアリングエコノミー
「所有から利用へ」がもたらすビジネス再構築
2019年04月25日
-
シェアリングエコノミーにおける消費者保護の視点
シェア事業者の信用と提供者・利用者のリテラシーの向上
2019年01月11日
-
シェアリングエコノミーによる地域の課題解決
~IT技術の進歩が可能にする地方創生~
2016年11月10日
同じカテゴリの最新レポート
-
2025年7-9月期法人企業統計と2次QE予測
AI関連需要の高まりで大幅増益/2次QEでGDPは小幅の下方修正へ
2025年12月01日
-
高市政権における実質賃金上昇の鍵は?
政策・改革の推進で40年度までの実質賃金は年率1.2~1.6%程度に
2025年12月01日
-
2025年10月雇用統計
雇用環境の改善が進み、就業者数は過去最高を更新
2025年11月28日

