被災地支援とシェアリングエコノミー

~防災の日を前に、シェアを通じた被災地支援を考える~

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2019年08月22日

  • 経済調査部 市川 拓也

サマリー

◆被災地を支援する活動として、近年ではシェアリングエコノミーの活用が広がりを見せている。避難できる住居などの提供者を募り、被災者等の利用者とマッチングを行うしくみを通じて、多数の提供者が被災者やボランティア活動を助けることができる点はシェアリングエコノミーの強みである。

◆災害時、特に被災者にとって重要となるのが宿泊場所の確保であり、避難所がその役割を果たしてきたが、そもそも避難所に入れない、避難所の生活条件が厳しいという問題がある。この点でシェアリングエコノミーの一翼を担う「民泊」が鍵を握っていると言える。

◆民泊に関して興味深いのが、徳島県阿南市で行われている「シームレス民泊」である。平時に民泊として事業を行い、災害発生時には避難所としてシームレスに機能する点に特徴がある。

◆災害時におけるシェアリングエコノミーのポテンシャルは大きいが、任意の支援であることから確実に実施される保証はない。災害による被害拡大を抑え、地域の持続可能性を高めるためにも、今後、行政としては災害時に早急に大きな支援の輪を築けるよう、シェア事業者との提携を積極的に行っていくことが望まれる。

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