サマリー
◆シェアリングエコノミーの普及を阻害するものとして、トラブルへの不安がある。実際に相談事例として、商品購入者からは返品ができない、商品が届かないといった事例、民泊で予約した物件が存在しない、オーナーと連絡がとれないといった事例が挙げられており、未経験者が不安を抱くのもやむを得ない部分がある。
◆シェアリングエコノミーにおける質の担保は、基本的には相互評価によってなされ、過去の取引での評価が低ければ、この段階で取引を中止することができる。しかし、完全にトラブルを回避できる方法はなく、シェア事業者が相談窓口を設置し適切に仲立ちをすることが重要であり、事後の保証として保険も大きな役割を果たす。
◆トラブル回避のためにはシェア事業者の対応が鍵を握ることは明らかであるが、どのシェア事業者を信用してよいかという点は残る。シェアリングエコノミー協会では、シェア事業者の認証を行っており、提供者・利用者にとって信用の目安となる。またシェリングエコノミーの国際標準化が日本主導で進められているといった動きも見られる。
◆今後の日本が安全・安心を損なわずにシェアリングエコノミーの普及を図るには、提供者・利用者が安全なシェア事業者を見分けられるような制度づくりに加え、提供者・利用者自身が賢く利活用できるようリテラシーの向上を図ることが重要なポイントとなってこよう。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
急拡大するカーシェアと未来のモビリティ社会(1)
シェアによる費用抑制と環境意識の高まりが背景に
2018年12月03日
-
シェアリングエコノミーによる地域の課題解決
~IT技術の進歩が可能にする地方創生~
2016年11月10日
-
シェアリングエコノミーへの期待と課題
~日本経済の健全な成長に向けて~『大和総研調査季報』 2016年秋季号(Vol.24)掲載
2016年12月01日
関連のレポート・コラム
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
日本経済見通し:2024年2月
2025年度にかけて1%前後のプラス成長と2%インフレを見込む
2024年02月22日
-
ビットコイン現物ETF、日本で組成可能か?
米SEC承認を受けて、日本で導入することの法制度上の是非を考察
2024年02月13日
-
第220回日本経済予測(改訂版)
賃上げの持続力と金融政策正常化の行方①自然利子率の引き上げ、②投資と実質賃金の好循環、を検証
2024年03月11日
-
日本経済見通し:2024年3月
24年の春闘賃上げ率5%超えを受け、日銀はマイナス金利政策を解除
2024年03月22日
-
2024年の日本経済見通し
緩やかな景気回復と金融政策の転換を見込むも海外経済リスクに注意
2023年12月21日
日本経済見通し:2024年2月
2025年度にかけて1%前後のプラス成長と2%インフレを見込む
2024年02月22日
ビットコイン現物ETF、日本で組成可能か?
米SEC承認を受けて、日本で導入することの法制度上の是非を考察
2024年02月13日
第220回日本経済予測(改訂版)
賃上げの持続力と金融政策正常化の行方①自然利子率の引き上げ、②投資と実質賃金の好循環、を検証
2024年03月11日
日本経済見通し:2024年3月
24年の春闘賃上げ率5%超えを受け、日銀はマイナス金利政策を解除
2024年03月22日
2024年の日本経済見通し
緩やかな景気回復と金融政策の転換を見込むも海外経済リスクに注意
2023年12月21日