サマリー
◆シェアリングエコノミーの特徴である人や資産の空き時間の活用は、労働力の自発的な増加と資産回転率の向上につながる。人口減少社会に直面する地方でこのしくみを用いることができれば、各地域の維持・存続の可能性を高めることに寄与すると考えられる。
◆地域の課題で優先して解決すべきは、①地域に仕事や産業をつくり、②人の域内流入を促し、③安心して結婚・出産・子育てができ、④時代に合った地域をつくる、といった地方創生に資する課題群である。いずれも実際にシェアリングエコノミーがカバーし始めており、今後、さらにシェアリングエコノミーが広がれば、地方の抱える課題の解決に大きく寄与すると考えられる。
◆シェアリングエコノミーは新たなフロンティアとして期待が高まるが、業法規制等との関係から自由な展開が難しいと考えられる分野もある。本年(2016年)11月4日のシェアリングエコノミー検討会議配付の中間報告書案では、マッチング・プラットフォーム事業を行う団体の自主的なルール整備及び認証付与について触れている。自主規制によりシェア事業者等の質を高めることができれば、地域の課題解決にも寄与しよう。
◆シェアリングエコノミーを通じ、アップグレードされた新たな日本経済の健全な発展こそ望まれる姿である。地域にあっては、課題に対応した多種多様なプラットフォームを通じ、利用者・提供者の瞬時のマッチングとともにスマートな解決が図られていくことを期待したい。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
若者の奨学金返済の不安をどう解消するか
給付奨学金の拡充、貸与奨学金は有利子から無利子への流れを加速
2025年05月09日
-
大介護時代における企業の両立支援
〜人的資本のテーマは「介護」にシフト〜『大和総研調査季報』2025年春季号(Vol.58)掲載
2025年04月24日
-
2025年度の健康経営の注目点
ISO 25554の発行を受け、PDCAの実施が一段と重視される
2024年12月24日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
日本経済見通し:2025年4月
足元の「トランプ関税」の動きを踏まえ、実質GDP見通しなどを改訂
2025年04月23日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
-
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
-
「反DEI」にいかに立ち向かうか
米国における「DEIバックラッシュ」の展開と日本企業への示唆
2025年05月13日
-
中国:関税115%引き下げ、後は厳しい交渉へ
追加関税による実質GDP押し下げ幅は2.91%→1.10%に縮小
2025年05月13日
日本経済見通し:2025年4月
足元の「トランプ関税」の動きを踏まえ、実質GDP見通しなどを改訂
2025年04月23日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
「反DEI」にいかに立ち向かうか
米国における「DEIバックラッシュ」の展開と日本企業への示唆
2025年05月13日
中国:関税115%引き下げ、後は厳しい交渉へ
追加関税による実質GDP押し下げ幅は2.91%→1.10%に縮小
2025年05月13日