サマリー
◆2018年10-12月期の全産業(金融業、保険業除く)の売上高は前年比+3.7%と増収を維持したものの、経常利益は同▲7.0%と2年半ぶりに減益に転じた。一方、季節調整値で見た経常利益も前期比▲5.1%と2四半期連続で減少し、2018年後半にかけて頭打ち感が鮮明になっている。
◆2018年10-12月期の全産業(金融業、保険業除く)の設備投資(ソフトウェア除く)は前年比+5.5%と9四半期連続で増加し、7-9月期(同+2.5%)からはやや加速した。季節調整値で見ても、前期比+3.3%と2四半期ぶりに増加した。もっとも、相次いだ自然災害が企業活動を制約した7-9月期(同▲4.4%)からの反動という点を考慮すると、10-12月期の増加率は限定的といえよう。特に、非製造業は同+0.2%とほぼ横ばいにとどまった。企業の設備投資の水準は、堅調な企業収益と低金利環境に支えられて、増加トレンドを維持しているが、企業を取り巻く環境は、海外経済を中心に厳しさが増している。
◆先行きの設備投資は、緩やかながらも増加基調を継続するだろう。労働需給の引き締まりを背景として、人手不足に対応した省人化投資やIT投資は、企業の競争力・収益性を維持するためには欠かせない。設備の更新や研究開発投資も同様である。もっとも、企業の期待成長が高まらない中では、設備投資の水準は、減価償却費を一定程度上回るレベルにとどまる傾向が続くだろう。また、資本ストック循環などを見ると、景気は成熟局面に位置しており、短期的には、設備投資の伸びは徐々に鈍化するとみられる。
◆今回の法人企業統計の結果を受けて、2018年10-12月期GDP二次速報(3月8日公表予定)では、実質GDP成長率が前期比年率+2.0%と、2四半期ぶりのプラス成長となった一次速報(同+1.4%)から上方修正されると予想する。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
2025年6月消費統計
需要側統計は弱いが供給側は強く、総じて見れば前月から小幅に増加
2025年08月08日
-
消費データブック(2025/8/4号)
個社データ・業界統計・JCB消費NOWから消費動向を先取り
2025年08月04日
-
既に始まった生成AIによる仕事の地殻変動
静かに進む、ホワイトカラー雇用の構造変化
2025年08月04日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
2025年度の最低賃金は1,100円超へ
6%程度の引き上げが目安か/欧州型目標の扱いや地方での議論も注目
2025年07月16日
-
のれんの償却・非償却に関する議論の展望
2025年07月07日
-
日本経済見通し:2025年7月
25年の賃上げは「広がり」の面でも改善/最低賃金の目安は6%程度か
2025年07月22日
-
対日相互関税率は15%で決着へ-実質GDPへの影響は短期で▲0.5%、中期で▲1.2%-
相互関税以外の関税措置も含めると実質GDPは中期で3.2%減少
2025年07月23日
-
新たな相互関税率の適用で日本の実質GDPは短期で0.8%、中期で1.9%減少
相互関税以外の関税措置も含めると実質GDPは中期で3.7%減少
2025年07月08日
2025年度の最低賃金は1,100円超へ
6%程度の引き上げが目安か/欧州型目標の扱いや地方での議論も注目
2025年07月16日
のれんの償却・非償却に関する議論の展望
2025年07月07日
日本経済見通し:2025年7月
25年の賃上げは「広がり」の面でも改善/最低賃金の目安は6%程度か
2025年07月22日
対日相互関税率は15%で決着へ-実質GDPへの影響は短期で▲0.5%、中期で▲1.2%-
相互関税以外の関税措置も含めると実質GDPは中期で3.2%減少
2025年07月23日
新たな相互関税率の適用で日本の実質GDPは短期で0.8%、中期で1.9%減少
相互関税以外の関税措置も含めると実質GDPは中期で3.7%減少
2025年07月08日