2018年8月鉱工業生産

災害の反動があったものの、外需の弱さにより生産の伸びは限定的

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2018年09月28日

  • 経済調査部 研究員 廣野 洋太
  • 小林 俊介

サマリー

◆8月の生産指数は前月比+0.7%と4ヶ月ぶりに上昇したが、コンセンサス(同+1.4%)を下回った。8月は、6月の大阪北部地震や7月豪雨の反動が見られる。他方、輸出は前月比でほぼ横ばいで外需に力強さを欠いたことで生産の伸びも限定的となったようである。また、先行きを製造工業生産予測調査で見ると、9月:同+2.7%、10月:同+1.7%となっている。9月の先行き試算値(生産計画のバイアスを補正した値、最頻値)は同+0.2%であるが、9月初めの台風や北海道胆振東部地震の影響もあり油断はできない。

◆業種別では、輸送機械工業やはん用・生産用・業務用機械工業などが上昇した。品目別では普通乗用車、半導体製造装置などが上昇に寄与した。輸送機械工業では、豪雨による7月の生産停止の反動があった他、輸出も7月の大幅減からの反動が影響したもよう。また同業種では、自動車輸出が鈍化しているものの、底堅い国内自動車販売が下支えとなっているようだ。はん用・生産用・業務用機械工業でも豪雨による影響の反動が見られたが、均して見れば横ばいとなっている。

◆8月の出荷指数と在庫指数を見ると、出荷は前月比+2.1%と大きく上昇した一方、在庫は同▲0.4%と低下した。しかし、出荷増に寄与した業種を見ると輸送機械工業(同+6.8%)、はん用・生産用・業務用機械工業(同+4.3%)など7月豪雨によって出荷が滞った業種であり、反動分は割り引いて見る必要があるだろう。

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