2018年7月貿易統計

中国の関税引き下げでアジア向け輸出が底堅く推移するも、 全体の輸出数量は前月比微減

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2018年08月16日

  • 経済調査部 研究員 廣野 洋太
  • 小林 俊介

サマリー

◆2018年7月の貿易統計によると、輸出金額は前年比+3.9%と前月(同+6.7%)からプラス幅が縮小、一方、輸入金額は同+14.6%と前月(同+2.6%)からプラス幅が拡大した。貿易収支は▲2,312億円と2ヶ月ぶりの赤字となった。

◆輸出数量(大和総研による季節調整値)は前月比▲0.2%と3ヶ月連続で減少。地域別では、米国向け(同▲0.4%)、EU向け(同▲1.2%)で減少したが、アジア向け(同+1.7%)は増加した。米国では、牽引役となっていた自動車が5、6月で大きく減少し、7月も微減となった。米国内の自動車販売も軟調で、輸出についてもピークアウト感が見られる。EUは、2017年中ごろから増勢が頭打ちである。足下では原動機の減少が全体を押し下げているが、前月の大幅増の反動とみられる。アジアは、半導体等製造装置を中心とした伸びが2017年末ごろから鈍化しているが、7月は中国の自動車関税等の引き下げ効果で底堅く推移したものとみられる。

◆中国政府は7月1日から、自動車および自動車部品、1,449項目に及ぶ日用品などの関税率を引き下げた。対象品目の輸出数量を見たところ、全体の前年比プラス幅拡大(7月:前年比+7.9%、6月:同+4.8%)に寄与したのは、自動車、医薬品、音響・映像機器、半導体等製造装置などであった。

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