2017年12月全国消費者物価

政府の消費者物価の基調判断が引き上げられる可能性も

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2018年01月26日

  • 金融調査部 主任研究員 長内 智
  • 小林 俊介

サマリー

◆2017年12月の全国コアCPI(除く生鮮食品)は前年比+0.9%と12ヶ月連続のプラスとなり、市場コンセンサス(同+0.9%)通りの結果となった。季節調整値によって指数の基調的な動きを確認すると、全国コアCPIと全国新コアコアCPI(生鮮食品及びエネルギーを除く総合)はいずれも持ち直しの動きが出ていると評価できる。


◆先行きの全国コアCPIの前年比は、前年に下落していた裏の影響が剥落することで今後いったん鈍化する見込みである。ただし、その後は、エネルギー以外の価格が底堅く推移するなか、原油価格が2017年6月を底に大きく上昇している影響が顕在化し、再びプラス幅を拡大するとみている。当面の焦点は、原油価格の動向に加え、外食や運輸関連など一部で着々と顕在化し始めているコストプッシュ・インフレの影響だ。


◆政府は、月例経済報告において、消費者物価の基調判断を2016年8月から2018年1月まで18ヶ月連続で「横ばいとなっている」としている。しかし、消費者物価(季節調整値)の現状と今後の見通しを踏まえると、今後、「緩やかに上昇している」といった表現に上方修正される可能性が生じている。「デフレ脱却」にはまだ距離があると考えているものの、政府が基調判断を上方修正することになれば、金融市場で早期の「デフレ脱却宣言」の観測が強まるとみられる点には留意が必要だ。

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