2017年11月貿易統計

米国向け自動車輸出、アジア向けIC輸出の増加により、 輸出数量は2ヶ月連続のプラス

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2017年12月18日

  • 経済調査部 研究員 廣野 洋太
  • 小林 俊介

サマリー

◆2017年11月の貿易統計によると、輸出金額は前年比+16.2%(市場コンセンサス:同+14.7%)と前月(同+14.0%)からプラス幅が拡大した。米国、アジア向け輸出数量が増加したことが背景にある。11月の税関長公示レートは113.54円/ドルと、前年比で見ると8.2%の円安水準であった。


◆輸出数量(大和総研による季節調整値)は前月比+3.4%と2ヶ月連続で増加した。地域別に見ると、自動車と自動車の部分品の輸出増を背景に米国向け(同+3.4%)、ICや鉄鋼の輸出増を背景にアジア向け(同+2.7%)が増加した。一方、押し下げ要因となったEU(同▲3.4%)は、自動車や電算機類の部分品の減少が大きかった。


◆先行きの輸出について、海外経済が底堅い成長を続ける中、緩やかな増加基調をたどるとみている。ただし注意点としては、米欧の金融政策の動向が挙げられる。米国では、Fedが金融引締めを着実に実行し続けており、ECBにおいても来年以降の資産買い入れの圧縮(テーパリング)がすでに発表されている。両中銀の金融引締めが米国、欧州経済の下押し圧力となるリスクには留意が必要である。

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