サマリー
◆2017年11月の貿易統計によると、輸出金額は前年比+16.2%(市場コンセンサス:同+14.7%)と前月(同+14.0%)からプラス幅が拡大した。米国、アジア向け輸出数量が増加したことが背景にある。11月の税関長公示レートは113.54円/ドルと、前年比で見ると8.2%の円安水準であった。
◆輸出数量(大和総研による季節調整値)は前月比+3.4%と2ヶ月連続で増加した。地域別に見ると、自動車と自動車の部分品の輸出増を背景に米国向け(同+3.4%)、ICや鉄鋼の輸出増を背景にアジア向け(同+2.7%)が増加した。一方、押し下げ要因となったEU(同▲3.4%)は、自動車や電算機類の部分品の減少が大きかった。
◆先行きの輸出について、海外経済が底堅い成長を続ける中、緩やかな増加基調をたどるとみている。ただし注意点としては、米欧の金融政策の動向が挙げられる。米国では、Fedが金融引締めを着実に実行し続けており、ECBにおいても来年以降の資産買い入れの圧縮(テーパリング)がすでに発表されている。両中銀の金融引締めが米国、欧州経済の下押し圧力となるリスクには留意が必要である。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
2025年7月機械受注
金融業・保険業、不動産業などの受注減で軟調な結果
2025年09月18日
-
2025年8月貿易統計
トランプ関税や半導体需要減の影響継続で輸出金額は4カ月連続減少
2025年09月17日
-
トランプ関税でインバウンドに黄色信号
中国人旅行客の伸びしろは大きいものの、他国の状況は厳しい
2025年09月16日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
2025年度の最低賃金は1,100円超へ
6%程度の引き上げが目安か/欧州型目標の扱いや地方での議論も注目
2025年07月16日
-
2025年ジャクソンホール会議の注目点は?
①利下げ再開の可能性示唆、②金融政策枠組みの見直し
2025年08月20日
-
既に始まった生成AIによる仕事の地殻変動
静かに進む、ホワイトカラー雇用の構造変化
2025年08月04日
-
米雇用者数の下方修正をいかに解釈するか
2025年7月米雇用統計:素直に雇用環境の悪化を警戒すべき
2025年08月04日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
2025年度の最低賃金は1,100円超へ
6%程度の引き上げが目安か/欧州型目標の扱いや地方での議論も注目
2025年07月16日
2025年ジャクソンホール会議の注目点は?
①利下げ再開の可能性示唆、②金融政策枠組みの見直し
2025年08月20日
既に始まった生成AIによる仕事の地殻変動
静かに進む、ホワイトカラー雇用の構造変化
2025年08月04日
米雇用者数の下方修正をいかに解釈するか
2025年7月米雇用統計:素直に雇用環境の悪化を警戒すべき
2025年08月04日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日