サマリー
◆2016年12月の貿易統計によると、輸出金額は前年比+5.4%と、15ヶ月ぶりに前年を上回り、事前コンセンサス(同+1.1%)も上回った。前年比で見た輸出数量がプラス幅を拡大したことに加え、輸出価格のマイナス幅が前月から大幅に縮小したことが12月の輸出金額を押し上げた。輸入金額は同▲2.6%と24ヶ月連続で前年を下回った。この結果、貿易収支は6,414億円と4ヶ月連続の黒字となった。
◆季節調整値で見た輸出金額は前月比+1.8%と5ヶ月連続の増加、輸出数量は同▲0.7%(季節調整値は大和総研による)と4ヶ月ぶりの減少となった。米国向けが同▲2.0%、EU向けが同▲3.8%と、いずれも4ヶ月ぶりの減少、アジア向けは同+3.6%と3ヶ月連続の増加となった。品目別では、米国向けではICや音響機器の数量が減少し、このところ増加基調にあった乗用車についてはその増勢が一服した。アジア向けでは乗用車やバス・トラックといった輸送用機器、ICの輸出数量が堅調を維持している。
◆先行きの輸出について、海外経済が底堅い成長を続けるなか、緩やかな増加基調が続くとの見方に変わりはない。ただし、トランプ米大統領は就任直後に、TPPからの離脱の決定やNAFTAの再交渉・脱退を表明した点には注意が必要だ。米国経済が極端な保護貿易主義に転じれば、世界の貿易を停滞させる可能性があり、長期的なリスク要因になると考えられる。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
25年度最低賃金改定の総括と今後の焦点
新政権では欧州型目標の導入など最低賃金政策の再考を
2025年10月14日
-
ゼロクリックで完結する情報検索
AI検索サービスがもたらす情報発信戦略と収益モデルの新たな課題
2025年10月10日
-
2025年8月消費統計
サービス消費が強く、総じて見れば前月から小幅に増加
2025年10月07日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
第226回日本経済予測(改訂版)
低成長・物価高の日本が取るべき政策とは?①格差問題、②財政リスク、を検証
2025年09月08日
-
聖域なきスタンダード市場改革議論
上場維持基準などの見直しにも言及
2025年09月22日
-
今後の証券業界において求められる不正アクセス等防止策とは
金融庁と日本証券業協会がインターネット取引の新指針案を公表
2025年09月01日
-
日本経済見通し:2025年9月
トランプ関税で対米輸出が大幅減、製造業や賃上げ等への影響は?
2025年09月25日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
第226回日本経済予測(改訂版)
低成長・物価高の日本が取るべき政策とは?①格差問題、②財政リスク、を検証
2025年09月08日
聖域なきスタンダード市場改革議論
上場維持基準などの見直しにも言及
2025年09月22日
今後の証券業界において求められる不正アクセス等防止策とは
金融庁と日本証券業協会がインターネット取引の新指針案を公表
2025年09月01日
日本経済見通し:2025年9月
トランプ関税で対米輸出が大幅減、製造業や賃上げ等への影響は?
2025年09月25日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日