9月雇用統計

完全失業率は低下するも、非労働力人口の増加が主因

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2016年10月28日

  • デジタルソリューション研究開発部 田中 誠人
  • 小林 俊介

サマリー

◆労働力調査によると、2016年9月の完全失業率(季節調整値)は、前月から0.1%pt低下し、3.0%となった。失業者数は前月差▲8万人と2ヶ月ぶりに減少し、就業者数は同▲15万人と2ヶ月連続で減少した。また、非労働力人口は同+18万人と2ヶ月連続で増加した。


◆一般職業紹介状況によると、2016年9月の有効求人倍率(季節調整値)は前月から0.01pt上昇し、1.38倍となった。一方、新規求人倍率は前月から0.07pt上昇し、2.09倍となった。9月の求人倍率の内訳を見ると、有効求職者数は前月比▲0.6%と3ヶ月ぶりに減少し、新規求職申込件数も同▲2.8%と2ヶ月連続で減少した。求人側を見ると、有効求人数は同+0.4%と2ヶ月ぶりに増加し、新規求人数も同+0.9%と2ヶ月ぶりに増加した。


◆先行きについて、労働需給はタイトな状況が続く見通しである。労働需給を需要と供給別に見ると、非製造業を中心とする人手不足感の継続によって、労働需要は高い水準で推移すると予想される。一方、労働供給については、足下で就業者数は増加基調にあるものの、一人当たりの労働時間は減少傾向にあり、マンアワーで見た労働投入量の増加は限定的である。ただし、労働需給はタイトな状況が続くものの、ほぼ完全雇用状態に達しているため、就業者数の増加ペースおとび失業者数の減少ペースは緩やかなものにとどまる可能性が高く、完全失業率の低水準での推移が続くとみている。

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