サマリー
◆2016年7月の企業関連の指標を見ると、鉱工業生産指数が前月比▲0.4%と2ヶ月ぶりの低下となり、弱さが見られた。機械受注(船舶・電力を除く民需)は同+4.9%となり、市場コンセンサス(同▲2.9%)に反して2ヶ月連続で増加した。足下の機械受注は底堅く推移していると判断できる。
◆2016年7月の家計関連の指標を見ると、実質消費支出は前月比+2.5%と3ヶ月ぶりに増加した。個人消費は、緩やかな増加基調にあると評価している。また、完全失業率(季節調整値)は前月から0.1%pt改善し3.0%、有効求人倍率(季節調整値)は前月から横ばいの1.37倍であった。労働需給に関しては引き続きタイトな状況にあると言えるだろう。
◆今後発表される経済指標では、10月3日発表の9月日銀短観に注目している。とりわけ、製造業の業況判断DIの悪化に警戒が必要だ。2012年12月の第二次安倍政権の発足以来、収益の追い風となってきた為替相場が円高となり逆風に転じていることなどが、引き続き製造業の景況感を悪化させる要因として働くとみている。足下の為替レートは、6月短観時点での想定為替レートと比べて大幅な円高水準で推移している。短観で公表される製造業の想定為替レートは足下の為替レートを参考に設定されている傾向が見られることから、9月短観では想定為替レートが円高方向に修正される公算が大きい。円高は輸出企業を中心に製造業の業績の重石となることから、想定為替レートの円高方向への修正は、製造業の業況判断DIを下押しすることとなろう。
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