7月国際収支統計

輸出数量減少と第一次所得収支受取減少が黒字幅縮小要因に

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2016年09月08日

  • 齋藤 勉
  • 小林 俊介

サマリー

◆2016年7月の国際収支統計によると、経常収支は1兆9,382億円と、25ヶ月連続の黒字となった。季節調整値で見ると、経常収支は1兆4,478億円と28ヶ月連続の黒字となったが、前月から黒字幅が2,006億円縮小した。7月には、輸出数量の減少を受けて貿易収支の黒字幅が縮小したこと、円高に伴う第一次所得収支の受取の減少などが、経常収支黒字幅縮小要因となった。


◆先行きの経常収支は、緩やかな黒字幅拡大を見込んでいる。足下で輸出数量に底入れの兆しが見られていることなどから、貿易収支の黒字幅は緩やかな拡大基調が続くとみている。国際的な金利低下や円高を受けて第一次所得収支の黒字幅は緩やかに縮小傾向が続いているが、為替レートの変動が落ち着けば、所得収支は横ばい圏での動きが続く公算が大きい。また、旅行収支の黒字幅拡大基調には頭打ち感が見られているほか、産業財産権等使用料の受取金額も低調に推移しているなど、サービス収支の赤字幅が大幅に縮小するということも考えにくい。経常収支黒字幅の本格的な拡大には時間を要するだろう。

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