7月貿易統計

円高で輸出金額が大幅減、米国向け輸出数量は増加

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2016年08月18日

  • 齋藤 勉
  • 小林 俊介

サマリー

◆2016年7月の貿易統計によると、輸出金額は前年比▲14.0%と、10ヶ月連続で前年を下回った。為替の円高方向への推移を受けた輸出価格の低下を背景として、前年比で見た輸出金額は減少が続いている。一方、輸入金額は同▲24.7%と19ヶ月連続で前年を下回った。この結果、5,135億円と2ヶ月連続の黒字となった。


◆季節調整値で見た輸出金額は前月比▲1.8%と2ヶ月ぶりの減少、輸出数量は同▲1.8%(季節調整値は大和総研による)と2ヶ月ぶりの減少となった。輸出数量を地域別に見ると、米国向けが同+4.2%と大幅に増加した一方で、EU向けは同▲0.6%と2ヶ月ぶりの減少、アジア向けは同▲0.2%と2ヶ月連続の減少となった。品目別では、一般機械が輸出数量の減少に寄与したとみられる。一方、米国向け自動車やアジア向けICなどの輸出数量は引き続き増加している。7月の輸出数量は減少に転じたものの、一部の品目には底入れの兆しが確認されているなど、必ずしもネガティブな結果ではない。


◆先行きの輸出は、強弱入り混じりながらも横ばい圏での動きを続ける公算が大きい。世界全体の緩和的な金融環境に支えられる形で家計消費関連需要は相対的に好調である一方、低稼働率と資源価格の低迷が続く中で企業部門需要に相当する素材・資本財の本格的な回復には相応の時間を要するだろう。

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