サマリー
◆2016年6月の国際収支統計によると、経常収支は9,744億円と、24ヵ月連続の黒字となった。季節調整値で見ると、経常収支は1兆6,484億円と27ヶ月連続の黒字となり、前月から黒字幅が2,341億円拡大した。6月には、輸出数量の増加を受けて貿易収支の黒字幅が拡大したこと、海外向け配当金支払いが減少したことなどが、黒字幅拡大要因となった。
◆先行きの経常収支は、緩やかながら黒字幅拡大基調が続く見込みである。足下で輸出数量に底入れの兆しが見られていること、7月以降原油価格が再度低下に転じていることなどから、貿易収支の黒字幅は緩やかに拡大基調が続くとみている。一方で、旅行収支黒字幅拡大基調には頭打ち感が見られているほか、産業財産権等使用料の受取金額も低調に推移している。また、国際的な金利低下や円高を受けて第一次所得収支の黒字幅は緩やかな縮小基調にある。先行きに関しても、サービス収支、第一次所得収支は横ばい圏での推移が続く見込みであり、経常収支黒字幅の本格的な拡大には時間を要するだろう。
◆ただし、為替の円高方向への推移は、所得収支の受取金額減少により、経常収支の黒字幅縮小に作用するとみられる。足下では、欧州の金融不安や各国金融政策動向により、為替の変動が大きい状況が続いている。経常収支の先行きを見る上でも、為替の動向に引き続き注意が必要だ。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
同じカテゴリの最新レポート
-
2025年3月雇用統計
失業率は上昇するも、求人倍率が上昇するなど雇用環境は悪くない
2025年05月02日
-
消費データブック(2025/5/2号)
個社データ・業界統計・JCB消費NOWから消費動向を先取り
2025年05月02日
-
2025年1-3月期GDP(1次速報)予測 ~前期比年率+0.5%を予想
外需が下押しも内需は堅調/小幅ながら4四半期連続のプラス成長
2025年04月30日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
トランプ関税で日本経済は「漁夫の利」を得られるか?
広範な関税措置となっても代替需要の取り込みで悪影響が緩和
2025年03月03日
-
地方創生のカギとなる非製造業の生産性向上には何が必要か?
業種ごとの課題に応じたきめ細かい支援策の組み合わせが重要
2025年03月12日
-
中国:全人代2025・政府活動報告を読み解く
各種「特別」債で金融リスク低減と内需拡大を狙う
2025年03月06日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
-
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
トランプ関税で日本経済は「漁夫の利」を得られるか?
広範な関税措置となっても代替需要の取り込みで悪影響が緩和
2025年03月03日
地方創生のカギとなる非製造業の生産性向上には何が必要か?
業種ごとの課題に応じたきめ細かい支援策の組み合わせが重要
2025年03月12日
中国:全人代2025・政府活動報告を読み解く
各種「特別」債で金融リスク低減と内需拡大を狙う
2025年03月06日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日