サマリー
◆2016年5月の生産指数は前月比▲2.3%と、3ヶ月ぶりの低下となった。市場コンセンサス(同▲0.2%)対比でも大幅に下振れしている。出荷指数も同▲2.3%と3ヶ月ぶりに大幅に低下し、在庫指数は同+0.3%、在庫率指数は同+1.3%と、いずれも2ヶ月ぶりの上昇に転じた。予測調査指数は6月同+1.7%、7月同+1.3%と小幅ながら増産計画を示しているが、過去の平均的な予測実現率や、今回の予測調査(6月10日)以降に決定した英国のEU離脱に端を発する金融市場の混乱などを踏まえれば、当面の生産は弱含む公算が大きい。
◆先行きの生産は当面弱含むとみている。勤労世帯の可処分所得上昇率および年金受給世帯所得の伸び悩みを背景に、消費を中心とした内需の本格的な回復には時間がかかるだろう。加えて円高の進行を受けて企業の収益環境が悪化する中、国内設備投資の増加も、人手不足対応の省力化投資や研究開発・省エネ関連投資など、的を絞った内容となる可能性が高い。外需についても、英国のEU離脱に伴う金融市場の混乱などを反映し、もう一段の減少が懸念される。欧州向け輸出については、原油価格下落やECBによる量的緩和の効果などから持ち直してきたが、今回の政治的判断が欧州域内の需要回復に水を差す可能性は否定できない。米国経済は家計部門を中心に底堅いが、他方で伸び悩む資本財需要など企業部門の動向が気がかりだ。アジア経済に関しては、米国金融政策の引締め懸念後退などを背景に資金流出の悪影響が軽減されつつあるものの、他方で欧州に端を発する金融市場の混乱がもう一段の需要減少を惹起する可能性には注意が必要である。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
関連のレポート・コラム
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
2024年の日本経済見通し
緩やかな景気回復と金融政策の転換を見込むも海外経済リスクに注意
2023年12月21日
-
中国経済:2023年の回顧と2024年の見通し
24年の成長率目標は5%か?達成の鍵は民営企業へのサポート強化
2023年12月21日
-
2024年の米国経済見通し
①個人消費の腰折れ、②インフレ率の高止まり、③政治の停滞がリスク
2023年12月21日
-
2024年度税制改正大綱解説
定額減税は経済対策としては疑問だが、インフレ調整策としては有効
2023年12月25日
-
四半期報告書の廃止に関する改正法の成立
四半期報告書が廃止された後の四半期決算短信の内容は?
2023年12月04日
2024年の日本経済見通し
緩やかな景気回復と金融政策の転換を見込むも海外経済リスクに注意
2023年12月21日
中国経済:2023年の回顧と2024年の見通し
24年の成長率目標は5%か?達成の鍵は民営企業へのサポート強化
2023年12月21日
2024年の米国経済見通し
①個人消費の腰折れ、②インフレ率の高止まり、③政治の停滞がリスク
2023年12月21日
2024年度税制改正大綱解説
定額減税は経済対策としては疑問だが、インフレ調整策としては有効
2023年12月25日
四半期報告書の廃止に関する改正法の成立
四半期報告書が廃止された後の四半期決算短信の内容は?
2023年12月04日