5月貿易統計

4ヶ月ぶりの貿易赤字を記録

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2016年06月20日

  • 小林 俊介

サマリー

◆2016年5月の貿易統計では、輸出金額は前年比▲11.3%と8ヶ月連続の減少となった。輸出金額減少の主因は輸出価格の低下であるが、その背景は資源価格下落の影響から円高へとシフトしている。一方、輸入金額は同▲13.8%と17ヶ月連続の減少となったが、前月に急落した輸入数量は同+3.6%と、2ヶ月ぶりの増加に転じている。結果として貿易収支は▲407億円と4ヶ月ぶりの赤字となった。季節調整値でみた貿易収支は引き続き大幅な黒字を記録しているが、輸入金額の増加や資源価格の持ち直し等を受け前月比で黒字幅は縮小している。


◆先行きの輸出は、強弱入り混じりながらも横ばい圏での動きを続ける公算が大きい。世界全体の緩和的な金融環境に支えられる形で家計消費関連需要は相対的に好調である一方、低稼働率と資源価格の低迷が続く中で企業部門需要に相当する素材・資本財の本格的な回復には相応の時間を要するだろう。また、年初来の円高進展を反映した輸出金額の伸び悩みと、円ベースでみた企業収益への影響には注意が必要である。

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