サマリー
◆2016年4月の貿易統計では、輸出金額は前年比▲10.1%と7ヶ月連続の減少となった。ほぼ市場コンセンサス(同▲9.9%)どおりの着地である。輸出価格の低下に歯止めがかかりつつある一方で、輸出数量が減少したことが輸出金額の下押し圧力となった。輸入金額は同▲23.3%と16ヶ月連続の減少となった。この結果、貿易収支は8,235億円と、3ヶ月連続で黒字を確保した。季節調整値で見た貿易収支も前月から黒字幅を拡大しており、貿易収支の黒字化が定着している様子が見てとれる。
◆先行きの輸出は、強弱入り混じりながらも横ばい圏での動きを続ける公算が大きい。世界全体の緩和的な金融環境に支えられる形で家計消費関連需要は相対的に好調である一方、低稼働率と資源価格の低迷が続く中で企業部門需要に相当する素材・資本財の本格的な回復には相応の時間を要するだろう。また、年初来の円高進展を反映した輸出金額の伸び悩みと、円ベースでみた企業収益への影響には注意が必要である。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
2025年7-9月期法人企業統計と2次QE予測
AI関連需要の高まりで大幅増益/2次QEでGDPは小幅の下方修正へ
2025年12月01日
-
高市政権における実質賃金上昇の鍵は?
政策・改革の推進で40年度までの実質賃金は年率1.2~1.6%程度に
2025年12月01日
-
2025年10月雇用統計
雇用環境の改善が進み、就業者数は過去最高を更新
2025年11月28日

