サマリー
◆2016年3月の機械受注統計によると、国内設備投資の先行指標である民需(船舶・電力を除く)は前月比+5.5%と、市場コンセンサス(同▲2.0%)に反して2ヶ月ぶりに増加した。この結果、1-3月期の民需は前期比+6.7%と、内閣府が公表していた見通しである同+6.4%を上回った。
◆3月分のデータに関して、需要者別に受注を見ると、製造業は前月比+19.7%と2ヶ月ぶりに増加した。2月の受注が大幅減となっていた反動が現れたほか、非鉄金属や造船業の大幅増が全体の受注額を押し上げた。非製造業(船舶・電力を除く)は前月比▲6.9%と4ヶ月ぶりに減少した。ただし、均してみると、増加基調を辿っている。
◆設備投資の先行指標である機械受注は先行き、横ばい圏で推移する展開を予想している。労働需給が引き続きタイトな中、特に外需の影響を受けにくく、業績が安定している非製造業において、人手不足に対応した合理化・省力化投資が行われることが期待される。また、熊本地震により毀損した生産設備の復旧・復興を目的とした機械の需要拡大も見込まれよう。一方、世界経済の停滞や円高・ドル安の進行といった外部環境の悪化が、製造業を中心とした輸出企業の業績の重石となる公算が大きくなってきた点は気がかりだ。これまで設備投資を支えてきた“好業績”という前提が崩れれば、設備投資を先送りする企業が増えてくる可能性が高い。
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