2月鉱工業生産

1-3月期はマイナス成長も視野に入るが、先行きには改善の兆し

RSS

2016年03月30日

  • 小林 俊介

サマリー

◆2016年2月の生産指数は前月比▲6.2%となり、2ヶ月ぶりの低下となった。市場コンセンサス(同▲5.9%)から若干下振れしており、また、出荷指数も同▲4.6%と大幅に悪化している。在庫指数は同▲0.1%と微かながら減少したものの、在庫率指数は同+0.5%と2ヶ月ぶりの上昇に転じた。今回の結果を受けて1-3月期の成長率がマイナスとなる可能性も浮上しつつあり、財政政策を中心とした今後の政策運営にも影響を与える公算が大きい。一方で、予測調査に示されるように、先行きには緩やかながら改善の兆しが見られている。


◆先行きの生産は再度緩やかな増産傾向に転じると見込んでいる。まず内需については、勤労世帯および年金受給世帯の実質所得環境改善に伴う消費の底入れを見込んでいる。また、国内設備投資に対する企業の意欲は衰えておらず、資本財需要の下支え要因となろう。外需についても、強弱入り混じりながらも緩やかな回復基調に復する見通しだ。米国では家計部門を中心に底堅い景気拡大が続いており、耐久財等の輸出は増加傾向が続くだろう。欧州向け輸出については、原油価格下落やECBによる量的緩和の効果などから持ち直しており、均してみれば回復基調が継続すると見込んでいる。アジア経済に関しては、中国の預金準備率引き下げや利下げなどによる実体経済の底上げが確認され始めており、消費財などを中心に一段の需要減少は回避される公算が大きい。

このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。