サマリー
◆2016年2月の貿易統計では、輸出金額は前年比▲4.0%と5ヶ月連続の減少となった。季節調整値でみた輸出数量も前月比で若干の減少に転じており、欧州向け輸出が特殊要因により大きく伸びた効果を除外して考えれば強い内容とは言い難い。輸出品目別にみると、各地域ともに緩和的な金融環境に支えられる形で家計消費関連需要は好調である一方、世界的に低稼働率と資源価格の下落が続く中で企業部門需要に相当する素材・資本財は不調という構造的な動きを確認させる内容となっている。
◆貿易収支は+2,428億円と2ヶ月ぶりの黒字となった。季節調整値でみた貿易収支も原油関連製品を中心とした輸入価格の低下を背景に改善しており、4ヶ月連続の黒字を記録している。
◆先行きの輸出は、強弱入り混じりながらも緩やかな回復を続けるだろう。米国では家計部門を中心に底堅い景気拡大が続いており、耐久財等の輸出は増加傾向が続くものとみられる。欧州向け輸出については、原油価格下落やECBによる量的緩和の効果などから持ち直しており、均してみれば回復基調が継続すると見込んでいる。アジア経済に関しては、中国の預金準備率引き下げや利下げなどによる実体経済の底上げが確認され始めており、消費財などを中心に一段の需要減少は回避される公算が大きい。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
2025年3月雇用統計
失業率は上昇するも、求人倍率が上昇するなど雇用環境は悪くない
2025年05月02日
-
消費データブック(2025/5/2号)
個社データ・業界統計・JCB消費NOWから消費動向を先取り
2025年05月02日
-
2025年1-3月期GDP(1次速報)予測 ~前期比年率+0.5%を予想
外需が下押しも内需は堅調/小幅ながら4四半期連続のプラス成長
2025年04月30日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
トランプ関税で日本経済は「漁夫の利」を得られるか?
広範な関税措置となっても代替需要の取り込みで悪影響が緩和
2025年03月03日
-
地方創生のカギとなる非製造業の生産性向上には何が必要か?
業種ごとの課題に応じたきめ細かい支援策の組み合わせが重要
2025年03月12日
-
中国:全人代2025・政府活動報告を読み解く
各種「特別」債で金融リスク低減と内需拡大を狙う
2025年03月06日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
-
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
トランプ関税で日本経済は「漁夫の利」を得られるか?
広範な関税措置となっても代替需要の取り込みで悪影響が緩和
2025年03月03日
地方創生のカギとなる非製造業の生産性向上には何が必要か?
業種ごとの課題に応じたきめ細かい支援策の組み合わせが重要
2025年03月12日
中国:全人代2025・政府活動報告を読み解く
各種「特別」債で金融リスク低減と内需拡大を狙う
2025年03月06日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日