サマリー
◆2015年10月の企業関連の指標は、持ち直しの動きの明確化が確認できる内容であった。鉱工業生産指数が前月比+1.4%と2ヶ月連続で上昇したほか、機械受注(船舶・電力を除く民需)も、前月比+10.7%と2ヶ月連続で増加した。また、輸出数量についても、季節調整値(季節調整は大和総研による)は前月比+1.5%と2ヶ月連続で増加した。
◆2015年10月の家計関連の指標を見ると、個人消費は低調な動きが続いている。一方、労働需給に関しては、引き続きタイトな状況であることが確認された。実質消費支出は前月比▲0.7%と2ヶ月連続で減少した。完全失業率(季節調整値)は前月から0.3%pt改善し、3.1%となった。有効求人倍率(季節調整値)は前月から横ばいの1.24倍であった。
◆今後発表される経済指標では、11月の鉱工業生産指数の動向に注目している。11月、12月の製造工業生産予測調査によれば、前月比各+0.2%、▲0.9%と、生産指数は目先、一進一退の展開になると見込まれている。最近の製造工業生産予測指数の動向を見ると、「当月実績」が1ヶ月前に発表された「当月見込み」を下回るパターンが続いている。したがって、11月の「当月実績」も10月に発表されていた11月の「当月見込み」を下回り、鉱工業生産指数も3ヶ月ぶりに前月比でマイナス圏に転落する可能性がある。ただし、生産の先行きについては、12月調査の日銀短観において大企業製造業の「海外での製商品需給判断DI(先行き)」が改善したことを踏まえると、外需が来年以降持ち直してくるとみられ、趨勢的には再度増産傾向に転じると予想している。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
2025年4月全国消費者物価
エネルギー高対策の補助縮小や食料価格高騰が物価を押し上げ
2025年05月23日
-
AI時代の日本の人的資本形成(個人編)
AI時代を生き抜くキャリア自律に向けた戦略
2025年05月22日
-
2025年3月機械受注
民需(船電除く)は事前予想に反して2カ月連続で増加
2025年05月22日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
「相互関税」による日本の実質GDPへの影響は最大で▲1.8%
日本に対する相互関税率は24%と想定外に高い水準
2025年04月03日
-
「相互関税」を受け、日米欧中の経済見通しを下方修正
2025年の実質GDP成長率見通しを0.4~0.6%pt引き下げ
2025年04月04日
-
米国による25%の自動車関税引き上げが日本経済に与える影響
日本の実質GDPを0.36%押し下げる可能性
2025年03月27日
-
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
-
日本経済見通し:2025年3月
トランプ関税で不確実性高まる中、25年の春闘賃上げ率は前年超えへ
2025年03月24日
「相互関税」による日本の実質GDPへの影響は最大で▲1.8%
日本に対する相互関税率は24%と想定外に高い水準
2025年04月03日
「相互関税」を受け、日米欧中の経済見通しを下方修正
2025年の実質GDP成長率見通しを0.4~0.6%pt引き下げ
2025年04月04日
米国による25%の自動車関税引き上げが日本経済に与える影響
日本の実質GDPを0.36%押し下げる可能性
2025年03月27日
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
日本経済見通し:2025年3月
トランプ関税で不確実性高まる中、25年の春闘賃上げ率は前年超えへ
2025年03月24日