8月貿易統計

先進国向け輸出を中心に軟調

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2015年09月17日

  • 小林 俊介

サマリー

◆2015年8月の貿易統計では、輸出金額は前年比+3.1%と12ヶ月連続の増加となった。しかし前月の同+7.6%からは減速しており、市場コンセンサス(同+4.3%)を下回っている。輸入金額は同▲3.1%と8ヶ月連続の減少となり、貿易収支は▲5,697億円と5ヶ月連続の赤字であった。


◆今月の結果は、海外需要の停滞が継続していることを確認させる内容であった。モメンタムは最悪期を脱しているが、当面は軟調な推移が予想される。とりわけ米国では原油価格下落やドル高が企業部門の重石となっており、米国向け輸出の主力製品である資本財の不調が当面続く可能性には注意が必要だ。


◆ただし先行きの輸出は、強弱入り混じりながらも緩やかな回復基調に復するだろう。米国では家計部門を中心に底堅い景気拡大が続いており、耐久財を中心に輸出の増勢回復が見込まれる。欧州向け輸出については原油価格下落やECBによる量的緩和の効果などから持ち直しており、基調としての回復・拡大が継続するだろう。アジア経済に関しては、中国の預金準備率引き下げや利下げなどによる実体経済の底上げが確認され始めており、一段の需要減少は回避される公算が大きい。

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