サマリー
◆2014年11月の貿易統計では、輸出金額は前年比+4.9%と3ヶ月連続の増加となったものの、市場コンセンサス(同+7.0%)を下回る結果となった。円安が進んだことで輸出価格は同+6.7%と上昇幅が前月(同+4.6%)から拡大した。一方、輸出数量が同▲1.7%と3ヶ月ぶりの前年割れとなったことから、輸出金額の増加率は前月より縮小した。ただし、季節調整値で見た輸出金額は前月比+0.3%と6ヶ月連続の増加となっており、輸出金額は円安進行による価格上昇を主因に増加傾向が続いている。
◆11月の輸入金額は、前年比▲1.7%と3ヶ月ぶりの減少となった。原油などの国際商品市況の下落が輸入価格の押し下げに作用したものの、円安進行による上昇圧力の方が強くなった結果、輸入価格は前年比+5.7%と前月(同+4.8%)から上昇幅が拡大した。一方、輸入数量が同▲6.9%と2ヶ月連続の低下となったことが輸入金額を押し下げる要因となった。この結果、貿易収支は▲8,919億円と29ヶ月連続の赤字となったものの、2ヶ月連続で赤字幅は前年より縮小した。
◆輸出数量指数を季節調整値で見ると(季節調整は大和総研による)、前月比▲1.4%と3ヶ月ぶりの低下となった。しかし、前月の上昇幅に比べると11月の低下幅は小さく、3ヶ月移動平均値は4ヶ月連続の増加となっていることから、輸出数量は非常に緩やかであるものの持ち直しつつあると評価できよう。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
関連のレポート・コラム
最新のレポート・コラム
-
2025年度のPBはGDP比1~2%程度の赤字?
減税や大型補正予算編成で3%台に赤字が拡大する可能性も
2025年01月15日
-
『ICTサイバーセキュリティ政策の中期重点方針』の公表
DIR SOC Quarterly vol.10 2025 winter 掲載
2025年01月15日
-
緩やかな回復基調、地域でばらつきも~消費者の節約志向や投資意欲の変化を注視
2025年1月 大和地域AI(地域愛)インデックス
2025年01月14日
-
2024年下半期の配当方針等の変更と株価
増配の有無で株価パフォーマンスは対照的。累進配当の導入は33社。
2025年01月14日
-
「サステナビリティ経営」に求められる「企業のサステナビリティ」
~要となるは新規事業創出~
2025年01月15日
よく読まれているリサーチレポート
-
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
-
「トランプ関税2.0」による日本経済への影響試算
中間財の出荷減や米国等の景気悪化で日本の実質GDPは最大▲1.4%
2024年12月18日
-
課税最低限「103万円の壁」引上げによる家計と財政への影響試算(第3版)
様々な物価・賃金指標を用いる案および住民税分離案を検証
2024年12月04日
-
長寿化で増える認知症者の金融資産残高の将来推計
金融犯罪を含む金融面の課題やリスクへの対応も重要
2024年12月20日
-
石破政権の看板政策「2020年代に最低賃金1500円」は達成可能?
極めて達成困難な目標で、地方経済や中小企業に過重な負担の恐れ
2024年10月17日
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
「トランプ関税2.0」による日本経済への影響試算
中間財の出荷減や米国等の景気悪化で日本の実質GDPは最大▲1.4%
2024年12月18日
課税最低限「103万円の壁」引上げによる家計と財政への影響試算(第3版)
様々な物価・賃金指標を用いる案および住民税分離案を検証
2024年12月04日
長寿化で増える認知症者の金融資産残高の将来推計
金融犯罪を含む金融面の課題やリスクへの対応も重要
2024年12月20日
石破政権の看板政策「2020年代に最低賃金1500円」は達成可能?
極めて達成困難な目標で、地方経済や中小企業に過重な負担の恐れ
2024年10月17日