1-3月期法人企業統計と二次QE予測

増収増益が続くが、増益幅は縮小。GDP二次速報は下方修正を予想

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2014年06月02日

  • 齋藤 勉
  • ロンドンリサーチセンター シニアエコノミスト(LDN駐在) 橋本 政彦

サマリー

◆2014年1-3月期の全産業(金融業、保険業除く)の経常利益は前年比+20.2%と、9四半期連続の増益となったが、増益幅は前四半期を下回った。売上高は同+5.6%と3四半期連続の増収となり、増収幅は前四半期から拡大した。消費税増税前の駆け込み需要により、小売関連業種の売上高は増加が続いた模様だ。ただし、製造業において、円安による収益の押し上げ効果が剥落したため、増益幅は縮小した。


◆2014年1-3月期の全産業の設備投資(ソフトウェア除く)は前年比では+8.3%と4四半期連続で前年を上回った。また、季節調整値で見ても、前期比+3.1%と4四半期連続の増加となった。製造業が前期比+5.5%、非製造業では同+1.8%とそれぞれ4四半期連続で設備投資が増加しており、収益の改善を背景に、企業の設備投資意欲が高まっている様子が見て取れる。


◆今回の法人企業統計の結果を受けて、2014年1-3月期GDP統計二次速報(6月9日公表予定)は、若干ながら一次速報から下方修正される見通しである。大和総研では、実質GDP成長率は前期比+1.4%(一次速報:同+1.5%)、前期比年率+5.8%(一次速報:同+5.9%)と予想する。今回の法人企業統計の結果を受けて、設備投資は前期比+5.0%(一次速報:同+4.9%)へと小幅ながら上方修正される見込みである。一方で、一次速報段階で仮置きになっていた建設総合統計の3月分が実績値に置き換わることで、公共投資は下方修正されると予想する。民間在庫も、若干ながら下方修正される見込みである。

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