サマリー
◆2014年2月5日、大和総研では「日本経済中期予測(2014年2月)—牽引役不在の世界経済で試される日本の改革への本気度」を発表した。本稿では、同予測における為替レートの見通しについて、要因分解を用いながら整理しつつ、代替的なリスクシナリオについても考察し、リスクシミュレーションを行った。
◆日米のインフレ格差が継続(米>日)するとの前提に立てば、円ドルレートは長期的には円高方向へ向かうだろう。ただし短期~中期的循環を考えると、予測期間の前半において日米金利差が拡大する局面では円安が進む可能性が高い。予測期間の後半においては日米金利差が縮小する中で円安要因は剥落し、円高が進むとみられる。
◆短期的な為替レートのスイングを決定するその他の要因としてリスク選好度が挙げられる。想定以上の円高進行という代替シナリオをもたらしうるリスク要因としては、米国金融政策の過度の引締めへの転換を受けたグローバルマネーフローの動揺、中国経済の崩壊、ユーロ問題の再発などに注意が必要だろう。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
今後10年の日本経済を読む10の勘所
日本経済中期予測(2014年8月)1章
2014年08月13日
-
設備投資循環から探る世界の景気循環
期待利潤回復、不確実性低下、低金利の下で拡大局面へ
2014年02月06日
-
日本経済中期予測(2014年2月)
牽引役不在の世界経済で試される日本の改革への本気度
2014年02月05日
-
デカップリング論の再来とその本質
2013年11月26日
-
QE3縮小後の金利・為替・世界経済(後編)
グローバルマネーフローを中心とした定性的検証
2013年09月09日
-
量的緩和・円安でデフレから脱却できるのか?
拡張ドーンブッシュモデルに基づいた構造VAR分析
2013年08月15日
-
設備投資循環から探る世界の景気循環
期待利潤回復、不確実性低下、低金利の下で拡大局面へ
2014年02月06日
同じカテゴリの最新レポート
-
2025年4-6月期GDP(2次速報)
実質GDP成長率は前期比年率+2.2%に高まるも民間在庫などが主因
2025年09月08日
-
一億自己啓発社会の死角
データが示す、転職志向・子育て・ジェンダーにおける格差
2025年09月05日
-
2025年7月消費統計
需要側統計は強いが供給側は弱く、総じて見れば前月から概ね横ばい
2025年09月05日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
2025年度の最低賃金は1,100円超へ
6%程度の引き上げが目安か/欧州型目標の扱いや地方での議論も注目
2025年07月16日
-
2025年ジャクソンホール会議の注目点は?
①利下げ再開の可能性示唆、②金融政策枠組みの見直し
2025年08月20日
-
既に始まった生成AIによる仕事の地殻変動
静かに進む、ホワイトカラー雇用の構造変化
2025年08月04日
-
米雇用者数の下方修正をいかに解釈するか
2025年7月米雇用統計:素直に雇用環境の悪化を警戒すべき
2025年08月04日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
2025年度の最低賃金は1,100円超へ
6%程度の引き上げが目安か/欧州型目標の扱いや地方での議論も注目
2025年07月16日
2025年ジャクソンホール会議の注目点は?
①利下げ再開の可能性示唆、②金融政策枠組みの見直し
2025年08月20日
既に始まった生成AIによる仕事の地殻変動
静かに進む、ホワイトカラー雇用の構造変化
2025年08月04日
米雇用者数の下方修正をいかに解釈するか
2025年7月米雇用統計:素直に雇用環境の悪化を警戒すべき
2025年08月04日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日